SHIBと提携したZAMAの完全準同型暗号(FHE)とは?影響や活用法をCEOが解説
ZAMA CEOが「FHE」について詳しく説明
シバイヌ(Shiba Inu/SHIB)と提携している暗号技術企業ZAMAの共同創設者兼CEOであるランド・ヒンディ氏は、2024年7月24日に公開された「The Shib Daily」とのインタビューの中で、ZAMAの技術やSHIBエコシステムでの活用例などについて詳しく説明を行いました。
ZAMAは、データを復号化することなく暗号化したまま処理できる暗号化技術である完全準同型暗号(FHE)のソリューションを開発しているオープンソースの暗号技術企業であり、2024年2月末にSHIBとのパートナーシップを締結しています。
同社はブロックチェーン・AI向けのFHEソリューションを開発している他、プライバシー問題を変革する安全性の高い新たな通信プロトコル「httpz」の構築も進めているため、今後の本格的な技術活用には期待が高まっています。
今回のインタビューは「ZAMAのFHE技術・シバイヌへの影響・プライバシーの将来に関する影響」などについて詳しく掘り下げたもので、具体的には以下のような内容が語られています。
※以下はインタビューの内容を日本語で要約したものとなります。インタビューの全文は「The Shib Daily」の記事をご覧ください。
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完全準同型暗号(FHE)とは?
完全準同型暗号(FHE)は、データを復号化(*1)することなく暗号化されたままの状態で処理できる技術のことを指す。FHEを使用した場合には、自分だけしかそのデータを見ることができなくなる。
FHEでは必要となる鍵を持っている人しかデータを見ることができないため、政府やハッカーだけでなく、サービス提供会社でさえもそのデータを見ることができない。
他のプライバシー強化技術との主な違いとしては「データが暗号化された状態で処理されるため、復号化する必要がない」という点が挙げられる。これは外部干渉からデータを保護できることを意味する。
ブロックチェーンにFHEを応用した場合には、トランザクション(取引)を行った瞬間からスマートコントラクトがデータを操作して保存する最初から最後までの間にかけてデータを暗号化されたままの状態に保つことができる。
(*1)復号化:暗号化されたデータを元に戻し、読める状態に戻すこと。
多数の業界著名人も支援
FHEで対処できる仮想通貨業界の課題は?
デフォルトのブロックチェーンでは、トランザクション・オンチェーンデータ・アドレスなどといったブロックチェーン上の全てデータが公開されている。
これは「自分の所有物や行動全てを誰でも見ることができる」ということであり「個人の銀行取引明細書を全世界に公開している状態」と同じである。
仮想通貨業界の課題はプライバシー問題だけではなく、すべてのデータが公開されていること原因で構築できないサービスも多数存在する。具体的な例としては「秘密を保持する必要があるポーカーなどのゲーム、分散型ID、MEV-Freeスワップ(*2)、公平な予測市場、データマーケットプレイス、分散型AI」などが挙げられる。
FHEはブロックチェーンのデータ公開に関する問題を解決してプライバシーを確保し、透明性の代償として妨げられていた新しい技術活用を可能にする。
(*2)MEV(最大抽出可能価値):特定のブロックにおけるトランザクションの追加・削除・順序変更によって、マイナーやバリデータなどのブロック生産者が利益を最大化する試みのこと。ユーザーが不当な価格で取引を行う環境に結びつくとしてさまざまな対策が取られている。
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ZAMAがシバイヌ(SHIB)と提携した理由は?
完全準同型暗号(FHE)の技術は、プライバシーと機密性を必要とする新しいオンチェーンアプリケーションの開発を可能にすることによって、シバイヌ(SHIB)をさらに主流の存在への成長させる素晴らしい方法となる。
SHIBとの提携は、ZAMAにとって「Web3業界で最も活発なコミュニティの1つと協力して、FHEの技術を何百万人もの人々に届ける貴重な機会」でもある。
また、SHIBのリード開発者であるShytoshi Kusama氏とKaal氏については「仮想通貨のあるべき姿について真のビジョンを持っているインスピレーションあふれるリーダーだ」と考えている。
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FHEはSHIBエコシステムでどう活用される?
ZAMAのFHE技術は、シバイヌ関連のイーサリアムL2であるShibariumの内外両方でSHIB関連アプリケーションのエコシステムに統合される。
これによって、ゲーム・メタバース・DeFi(分散型金融)などで新しい製品を構築できるようになり、全てのSHIBユーザーは実際の身元情報を知られることなくオンチェーンで利用することが可能になる。
シバイヌのプラットフォーム内でZAMAのFHE技術を活用することによって、機密情報を扱うゲーム・DeFi・IDソリューションなどといった、プライバシー重視のアプリケーションを展開する新しい可能性が開かれる。
FHEを既存の仮想通貨サービスに統合する課題は?
従来のFHEでは暗号に関する深い専門知識が必要だったためサービスに統合するのが困難だったが、ZAMAは開発者がメイン製品の開発に集中できるように「FHEの複雑さを抽象化する開発者向けライブラリ」を作成してこの問題を解決した。
ZAMAは「fhEVM」を作成したため、これによって開発者ツールに何の変更も加えることなく、暗号に関する知識も必要とせずに、Solidity(*3)で直接機密性の高い分散型アプリケーション(dApps)を作成できるようになった。
Zamaの開発者向けツールはFHEの統合を簡素化して暗号に関する深い専門知識を必要とせずにより幅広い開発者が利用できるようにするもの。開発者はこれまでと同じ方法でスマートコントラクトを記述でき、機密性とプライバシーのメリットも享受することができる。
(*3)Solidity:イーサリアムの共同設立者ギャビン・ウッド氏によって開発された、ブロックチェーン上で実行されるスマート・コントラクトを記述するためのプログラミング言語。
プライバシー重視のL3も
FHEは広い範囲で個人や企業にどのような影響を与える?
プライバシーとは、単にデータを所有したり保護したりすることだけでない。「自分の情報を誰にどのように開示するかを選べる」ということもプライバシーに含まれる。私たち個人はプライバシーを犠牲にすべきではなく、企業や組織はそれをユーザーや顧客への付加価値として見なすべきである。
FHEを活用すれば、医療記録の保護や個人向け金融サービスの新たな道を開き、サプライチェーン管理を改善し、パーソナライズされた広告やマーケティングにおけるプライバシーの懸念を解決するなど、日常生活の様々な場面でデータセキュリティを強化できる可能性がある。
最終的な目標は、FHEを搭載した新しい「HTTPZ」プロトコルによってインターネット全体をエンドツーエンドで暗号化することにある。
これが実現すれば、全てのプロトコルとアプリケーションの設計でプライバシーが保障されるため、プライバシーを気にする人は誰もいなくなると予想している。
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