仮想通貨は将来、金を超える「価値の保存手段」に:Nick Szabo
仮想通貨ビットコイン(Bitcoin/BTC)発案者の有力候補としても知られるNick Szabo(ニック・サボ)氏は、2019年1月8日にイスラエルのテルアビブ大学で開催された「Israel Bitcoin Summit」の中で暗号通貨の重要性について語り『中央銀行は近い将来、暗号資産を準備金として使用し始める可能性がある』と発言しました。
Nick Szabo(ニック・サボ)氏とは?
Nick Szabo(ニック・サボ)氏は、ビットコイン(Bitcoin/BTC)が誕生する初期の頃から研究開発を行なっていたことで知られるコンピューター科学者です。
「デジタル契約」や「デジタル通貨」に関する研究を行なっているサボ氏は、「bitgold(ビットゴールド)」と呼ばれる論文をビットコインの論文が公開される前に公開しており、スマートコントラクトの提唱者としても知られています。
ビットコインや仮想通貨に深い関わりを持っていることから同氏は「サトシ・ナカモト」の有力候補者の一人として考えられていますが、本人はそれを否定しています。
仮想通貨を「準備金」として選択する可能性
イスラエルのテルアビブ大学で開催された「Israel Bitcoin Summit」に出席したサボ氏は、世界中の通貨の歴史などに関する説明を行い、貿易の「ブラックリスト」に載った国や「ハイパーインフレ」の問題に直面している国は徐々に「デジタル資産」へと移行していくことになるとの見解を語りました。ベネズエラ、ジンバブエ、イランなどの国では、実際に仮想通貨の需要が高まっており、ベネズエラのビットコイン取引量は価格が下落しているにも関わらず現在も増加し続けています。
今回のサミットに参加した一人である、財務大臣の経済顧問を務めた経歴を持つイスラエルの経済学者Avraham Simhon(アブラハム・シモン)氏は、『ビットコインの技術は本質的に"非効率的"であり、世界規模で使用すると何兆ドル(何百兆円)ものエネルギーが無駄になる』と指摘しましたが、サボ氏は社会情勢が不安定な状態が続いている現代社会において、"信用"の必要性を最小限に抑えた仮想通貨が大きな利点を備えていることを説明した上で『将来的に一部の中央銀行は「準備金」を選択する際に"金"ではなく"仮想通貨"に頼るようになる可能性がある』と語りました。
分散型管理されている仮想通貨は、政府や銀行などに必要とされる"信用"が必要ないことなどでも注目されていますが、サボ氏は今後は『中央銀行は外国の銀行や政府の債権を"信用できない状況"に直面することになる』と強調しており、このような動きが『2019年に始まる可能性もある』と語っています。
この解決策としてはスイス政府に担保してもらうことなどが提案されていますが、これに対してサボ氏は『スイス政府自体が政治的圧力の影響を受ける可能性もあるため、"信用"を最小化する解決策にはならない』と述べており、信用を最小限に抑えたソリューションは"仮想通貨"だと説明しています。
金が抱える問題点
今回の講演の中でサボ氏は"金"を準備金として使用する際の問題点についても具体的に説明しており、1930年にナチスがヨーロッパを征服した際に真っ先に狙われたのが中央銀行の"金"だったことを挙げています。
現物の"金"は実際に侵略を行い盗み出すことができますが、ブロックチェーン上に記録されているデータであるビットコインは、たとえ中央銀行を制圧しても秘密鍵などの情報がなければ資産を盗み出すことはできません。
「暗号化技術」や「分散型管理」を採用することによって"実態のない状態"で"信用を最小限"に抑えつつ価値を保管することができるビットコインは、中央銀行を支える準備金のあり方を根本的に変える可能性があると言えるでしょう。
2019年「Lightning Network」の採用が加速
さらにサボ氏は仮想通貨の技術面の発展状況について尋ねられた際に、2019年はLightning Network(ライトニングネットワーク)などのような既存の問題点の解決策となる技術の採用がさらに加速することになるとも語っています。
取引速度や手数料などの問題点を大きく改善することができるこれらの技術が一般化すれば、ビットコインは"価値の保存"だけでなく日常的な"決済手段"としての機能性を発揮できる可能性も秘めています。
ビットコイン価格は現在40万円前後で推移しており、今後の動きについての予想も分かれてきていますが、技術的な面などから見ると2019年にさらなる成長を遂げる可能性があります。
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ビットコイン(Bitcoin/BTC)の価格|2019年1月11日
ビットコイン(Bitcoin/BTC)の価格は、昨年末から上昇が続いていましたが、先日10日15時頃から大幅に価格が下落しており、2019年1月11日時点では「1BTC=395,644円」で取引されています。