ブロックチェーンが「保険業界」の未来を救う?技術活用が求められる理由と今後の課題
ブロックチェーン技術の活用が様々な業界で進められている中で、保険業界も同様に多くの企業がこれらの技術の実証実験を重ねています。「業務全体の効率化」や「様々な面でのコスト削減」を実現することができるブロックチェーン技術は、テクノロジーの発展によって収益が低下していくと予想される一部の保険会社にも新たな可能性をもたらすことができます。
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保険業界の「業務効率化・コスト削減」を実現
保険は利用者が契約を結んで加入し、病気や事故などが起きた場合、条件を満たせば保険金が入ってくる仕組みとなっています。しかし、このプロセスは非常に複雑となっていて、利用者にとっても分かりづらいものとなっていました。
従来の保険金支払いまでのやり取りは、書類やEメールが主となっており、検証などにも多くの時間が必要になるためコストがかかっていました。またやり取りの最中において人為的なミスの発生や、保険金の申請自体が不正である可能性などの懸念もあります。
そこで注目されているのがブロックチェーン技術であり、適応させることによって効率化やコスト削減に繋がると期待されています。実際に2016年12月から2017年3月には「東京海上日動火災」と「NTTデータ」が提携し、外航貨物海上保険の保険証券の共有のためにブロックチェーンの実証実験が行われています。
この実験の結果「貿易業務全体の効率化」や「コスト削減」が実現されており、ブロックチェーンへの関心はさらなる高まりを見せる結果となりました。
予想される「収益性低下」への対策
テクノロジーが発達し自動運転車両などの開発が進められていることによって、損害保険・再保険分野では収益が低下するのではないかと懸念されています。自動運転車両が本格的に実用化されることになれば損害保険などに加入する人々は減少していくと予想されるため、これらの保険会社では「業務の効率化」や「効率的な新商品開発」などを通じて収益性を高めることが求められています。
保険会社はそれぞれが独自のデータベースで顧客情報を管理しているため、ブロックチェーン上で特定の情報を共有することができれば「業務効率化」や「営業や販売などの分野でのコスト削減」が見込まれます。また、業務効率化を測ることによって、今後の人口不足や労働力不足などにも対処できると期待されます。
実際にブロックチェーン保険イニシアティブ(B3i)の調査では、保険会社がブロックチェーンを導入した場合、最大30%の効率化が達成でき、企業価値が26%向上するといった試算が報告されています。
ブロックチェーン活用する上で重要となる「今後の課題」
ブロックチェーンを活用することによって、複数の恩恵を受けることができると期待される一方では、今後の課題も浮き彫りとなっています。
ブロックチェーン技術の重要なメリットの1つとしては「複数のネットワーク参加者間でデータを共有・記録することによって、情報の信頼性・透明性を確保し、データ共有の時間などを大幅に短縮できる」ということが挙げられますが、日本では「損害保険会社」と「生命保険会社」の間で顧客データを共有することが禁止されています。
また日本の消費者は「個人データの共有」などにやや神経質な傾向も見受けられ、依然として多くの人々が仮想通貨やブロックチェーンなどにマイナスなイメージを抱いているのが現状です。
このように保険業界ではブロックチェーン技術の本質である「データ共有」という面での問題点が潜んでいるため、今後はさらなる活用方法を模索し、実用例を増やしていくことも必要であるといえます。そのような取り組みの中で保険利用者が恩恵を受けることができれば、信頼の構築にもつながり、業界を発展させることができると考えられます。
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