自民党「デジタル通貨発行」視野に独自対策|法律見直しの可能性も

by BITTIMES   

自民党の調査会や議員連盟がデジタル通貨発行を視野に入れて「個人情報保護」や「資金洗浄(マネーロンダリング)」の観点から2020年春頃に提言をまとめ、政府に対応を促す方針であることが「日本経済新聞」の報道で明らかになりました。自民党は"中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行によって新たな法律が必要になる可能性があること"を考慮して、将来予想される立法に備えていくと報じられています。

こちらから読む:ブロックチェーン推進協会、日本版Libra発行を計画「国内ニュース」

「プライバシー侵害」や「違法行為」などを懸念

中央銀行が発行するデジタル通貨「Central Bank Digital Currency(CBDC)」は世界中で注目を集めており、先日は日本銀行が「欧州カナダイングランドスウェーデンスイス」などの中央銀行と共にCBDCの共同研究グループを立ち上げたことも発表しています。

CBDCは各国の法定通貨に基づいて発行される"デジタル版の法定通貨"であるため、実用化されれば国際送金がスムーズになり、お金の流れを監視して盗難や脱税を防げるなどといった様々な利点があると考えられています。

しかし自民党は「個人データの保護」という面に特に着目しており、"いつ誰が通貨を保有しているか"といった情報がデジタル通貨と共に流通することによって「個人のプライバシーが侵害される恐れがある」と懸念しているとされています。

また、仮想通貨と同様に「マネーロンダリング(資金洗浄)に悪用される可能性があること」が論点とされている他、「サイバー攻撃にさらされるリスクが高まること」や「多額の盗難・偽造通貨製造が行われること」なども懸念されていると伝えられています。

これら複数の懸念点は「個人情報保護法」や「刑法」などとも密接な関わりがあり、関連法令の見直しにつながる可能性もあるため、自民党は早めに新規立法に向けた動きを始めたとされています。

ブロックチェーン技術の「開発支援・育成」も視野に

日本政府は以前から中央銀行デジタル通貨に関する調査を進めており、経済成長戦略本部が2021年にデジタル通貨「eクローナ」発行を予定しているスウェーデンを視察した他、金融調査会はカンボジア中央銀行のデジタル通貨「バコン」を共同開発した日本のブロックチェーン企業「ソラミツ」へのヒアリングを実施しています。

自民党がまとめる提言には「スタートアップ企業などによるブロックチェーン技術の開発支援や育成」も盛り込まれる見通しだと伝えられているため、今後は日本国内のブロックチェーン技術開発がさらに加速することになると予想されます。

また今回の報道では「自民党が議論を急ぐ背景には中国人民銀行が検討する"デジタル人民元"への懸念もある」と報告されており、前財務官でアジア開発銀行(ADB)総裁の浅川 雅嗣(あさかわ まさつぐ)氏が議連会合で『利用者の決済や送金のデータが人民銀に集まる』と指摘している他、甘利 明(あまり あきら)税制調査会長が『米中の中長期の覇権争いに影響する可能性がある。いち早く対応するため政府に警鐘を鳴らす役割を果たしたい』と語っていることも報告されています。

>>「日本経済新聞」の報道はこちら

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