不動産賃貸契約にブロックチェーン活用「スマート契約」プレ商用サービス開始
「住友商事株式会社」と「株式会社bitFlyer Blockchain」2020年10月29日に、スマートコントラクト機能を備えたブロックチェーン「miyabi」を活用した物件の申し込み〜生活インフラの契約までをスマートフォン上で完結することができる不動産賃貸契約プラットフォーム「スマート契約」のプレ商用サービスを開始したことを発表しました。
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不動産賃貸契約プラットフォーム「スマート契約」とは
「スマート契約」プレ商用サービスの全体概要(画像:bitFlyer Blockchain)
「住友商事」と「bitFlyer Blockchain」は2020年10月29日に、両社が業務提携を通じて2019年7月から実証実験などを行ってきた不動産賃貸契約プラットフォーム「スマート契約」のプレ商用サービスを開始したことを発表しました。
「スマート契約」はbitFlyer Blockchainが独自開発したエンタープライズ向け純国産ブロックチェーン「miyabi」の技術を活用した物件の申し込み〜生活インフラの契約までをスマートフォン上で完結することができるサービスであり、借主、不動産管理・仲介会社、その他参加企業向けに以下のような機能や利点を提供すると説明されています。
借主向けの「アプリケーション」
- 物件の申込から不動産賃貸契約までをアプリケーション上で行うことによって、煩雑な書類手続きや捺印が不要になる。
- 電力・ガス・通信などといった「生活インフラに関する契約」や「引越し会社の手配」といった転居手続き全般までをワンストップで行うことができる機能を借主に提供する。
「スマート契約アプリ」の画面イメージ(画像:bitFlyer Blockchain)
不動産管理・仲介会社向けの「管理機能」
- 不動産賃貸契約の申込状況などといったステータスをリアルタイムで把握することができる管理機能を「不動産管理会社」と「不動産仲介会社」向けに提供する。
- 契約に関わる手続きを電子化することによってペーパーレス化を促進し、紙での管理コストを大幅に削減することが可能。
その他参加企業向けの「データ連携機能」
- 電気・ガスなどといった各種契約の申し込みを行う際に、不動産賃貸契約時に借主本人が承諾した本人確認済の個人情報を連携することが可能。
- 契約手続きが簡素化されることによって各種契約手続きが効率化されるため、サービスの継続的利用が期待される。
個人情報管理では「bPassport」を活用
「スマート契約」における個人情報管理では「bitFlyer Blockchain」が提供する個人主権型ブロックチェーンIDソリューション「bPassport(ビーパスポート)」が利用されます。
bPassport(ビーパスポート)は"マイナンバーカードを使用して本人確認を行うことができるブロックチェーンIDシステム"であり、企業がユーザーのIDデータを利用しようとする際に、ユーザー本人がどの情報を企業に提示するかをコントロールすることができるようになっています。
不動産仲介会社が本人確認済であることの保証を与えることによって参加企業のサービス登録時の本人確認手続きや審査が不要になり、個人情報は借主自身で管理・提供できるため、自らが選択した企業にのみ個人情報を提供することができると説明されています。
「スマート契約」のプレ商用サービス参加企業
不動産賃貸契約プラットフォーム「スマート契約」のプレ商用サービスには以下の25社が参加しています(参加予定企業も含む)。
【運営会社(2社)】
・住友商事株式会社
・株式会社bitFlyer Blockchain
【不動産管理会社・不動産仲介会社(9社)】
・株式会社ietty
・きらめき不動産株式会社
・株式会社シエルトパートナー
・住商建物株式会社
・住商リアルティ・マネジメント株式会社
・株式会社宅都プロパティ
・トーセイ・アセット・アドバイザーズ株式会社
・株式会社ユーミーClass、Life&Style株式会社
【家賃債務保証会社(2社)】
・株式会社エポスカード
・株式会社オリコフォレントインシュア
【損害保険関連(2社)】
・三井住友海上火災保険株式会社
・住商インシュアランス株式会社(保険代理店)
【生活インフラ関連会社(7社)】
・東京電力エナジーパートナー株式会社(電気会社)
・株式会社PinT(電気会社)
・東京ガス株式会社(ガス会社)
・日本瓦斯株式会社(ガス会社)
・株式会社ジュピターテレコム(通信会社)
・ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社(通信会社)
・他1社
【引っ越し会社(2社)】
・アートコーポレーション株式会社
・株式会社アップル
【システム開発協力会社(1社)】
・SCSK株式会社
本格的な商用サービス開始は「2021年」を予定
「住友商事」と「bitFlyer Blockchain」はスマート契約の今後の構想として、『スマート契約を不動産の賃貸分野だけではなく「分譲・売買分野」にも活用していくことも検討している他、転居を伴わないケースでスマート契約を活用することも想定している』と説明しています。
「スマート契約」の本格的な商用サービスは2021年に開始される予定となっており、『不動産領域を起点として、生活関連の各種サービスへの拡大・連携を進め、衣食住の「住」の総合プラットフォームを目指す』と説明されています。