米SEC:仮想通貨XRPの有価証券問題で「Ripple社」提訴へ|XRP価格の下落続く
米国証券取引委員会(SEC)が『未登録の有価証券を販売した』として、仮想通貨XRPの大部分を保有しているRipple(リップル)社を提訴する方針であることが明らかになりました。Ripple社のCEOであるBrad Garlinghouse(ブラッド・ガーリングハウス)氏はこの件について『SECと戦って勝つ準備はできている』とコメントしています。
米SEC:未登録有価証券問題で「Ripple社」を提訴
Ripple社と仮想通貨XRPの関係については以前から多くの議論が交わされており、一部では『XRPはRipple社の有価証券だ』とする意見が出ていましたが、先日21日には米国証券取引委員会(SEC)が『未登録の有価証券を販売した』としてRipple社を提訴する意向を示していることが明らかになりました。
米国証券取引委員会(SEC)の関係者は2018年6月に「ビットコイン(BTC)」と「イーサリアム(ETH)」の2通貨に対して『有価証券には該当しないと考えられる』という考えを語っていたため、BTCとETHは有価証券には該当しないと考えられてきましたが、それに含まれていなかった「XRP」に関しては明確な判断が下されていない状態が続いていました。
しかし今回の報道では『Ripple社が無認可で"有価証券(XRP)"を販売した』という内容で訴訟が行われる予定だと報告されているため、SECはXRPを「Ripple社の有価証券」だと判断したのだと考えられます。
この訴訟はRipple社のCEOであるBrad Garlinghouse(ブラッド・ガーリングハウス)氏と、共同創設者であるChris Larsen(クリス・ラーセン)氏を相手方として行われる予定となっており、訴訟は近いうちにも行われる予定だと報じられています。
Ripple社CEO「戦い、勝つ準備ができている」とコメント
ガーリングハウス氏は2020年12月22日のツイートでこのことを報告しており、『間もなく任期を終えるSECのJay Clayton(ジェイ・クレイトン)委員長は米国のイノベーションをビットコインとイーサリアムに限定しようとしている』と指摘した上で、『私たちはこの戦いに勝つ準備ができている』とコメントしています。
Today, the SEC voted to attack crypto. Chairman Jay Clayton - in his final act - is picking winners and trying to limit US innovation in the crypto industry to BTC and ETH. (1/3) https://t.co/r9bgT9Pcuu
— Brad Garlinghouse (@bgarlinghouse) December 22, 2020
今日SECは仮想通貨に攻撃することを選択しました。ジェイ・クレイトン委員長は彼の任期における最後の行動で勝者を選び、仮想通貨業界における米国のイノベーションをBTCとETHに限定しようとしています。
私たちは仮想通貨とブロックチェーン技術がどこにも行かないことを知っています。Ripple社はXRPを今後も使用し続けます。なぜならXRPはスピード・コスト・スケーラビリティ・エネルギー効率などといった様々な面で支払いに最適なデジタル資産だからです。XRPは世界中にある200以上の取引所で取引されており、今後もその規模はさらに成長していきます。
SECはG20諸国やその他の米国政府と歩調を合わせていないため、イノベーションがどのように見えるかを選択することができないはずです(特に彼らの決定が直接中国に利益をもたらす場合)。間違いなく私たちは戦い、そしてその戦いに勝つ準備ができています。この戦いはまだ始まったばかりです。
SBI北尾社長「Ripple社が勝利する」と楽観視
今回の報道に対しては、Ripple社に出資している「SBIホールディングス」の北尾吉孝(きたお よしたか)社長もコメントしており、『日本の金融庁はXRPが証券ではないと既に明言している。米国においても、Ripple社が最終的に勝利を勝ち取ると強く信じている』と語っています。
日本の金融庁はXRPが証券ではないと既に明言しています。米国においても、Ripple社が最終的に米国で勝利を勝ち取ると強く信じています。SBIホールディングスは引き続きRippleの確固たるパートナーとして、共にアジアで事業拡大に取り組みます。 https://t.co/MFRxLLAZdG
— 北尾吉孝 (@yoshitaka_kitao) December 22, 2020
Ripple社の今後の対応などにも注目
Ripple社は現在存在しているXRPの大部分を保有しているため『XRPは中央集権的だ』『XRPはRipple社の有価証券だ』といった意見が出ていますが、Ripple社は"XRPの分散化"に向けて保有するXRPを徐々に市場に放出しており、XRP自体も"国際送金サービスを提供するための1つのツール"として使用されています。
1通貨あたりの価値が低い仮想通貨を全て市場に放出した場合に一部の投資家が通貨の大部分を買い占める可能性があることなども踏まえて考えると、市場の成熟に向けて徐々に通貨を流通させていく方法も有効な手段の1つであると考えられるため、『Ripple社が大量のXRPを保有している』という現在の状況は安定したネットワークの構築に向けた通過点の1つであるとも判断できます。
米SECとRipple社の訴訟問題で今後どのような判断が下されるかには注目が集まりますが、Ripple社はここ最近で「米国の仮想通貨規制が明確化されていないこと」などを理由として、イギリス、シンガポール、スイス、アラブ首長国連邦、日本などの国に本社を移転することなども検討していたため、今後Ripple社がどのような対応を取っていくかにも注目が集まっています。
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2020年12月22日|エックスアールピー(XRP)の価格
エックスアールピー(XRP)の価格は今月18日に65円付近まで回復していたものの、その後はやや下落しており、今回の報道を受けてさらに下落の勢いを強めています。報道前に54円付近で推移していたXRP価格はその後さらに下落し、記事執筆時点では「1XRP=48.20円」で取引されています。