ドナルド・トランプ氏の仮想通貨政策内容は?過去の発言・公約と予想される影響
トランプ氏の仮想通貨に関する発言まとめ
2024年の米大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ氏が勝利したことによって、2025年1月20日にドナルド・トランプ氏が47代目の米大統領に就任することが決定しました。
ドナルド・トランプ氏は元々ビットコイン(BTC)などの仮想通貨に対して否定的な見解を示していましたが、現在は仮想通貨を支持する姿勢を明確に示しているため、仮想通貨業界ではトランプ政権の仮想通貨政策に期待が高まっています。
同氏は2024年7月に開催されたビットコインカンファレンスを含む様々なイベントや演説で仮想通貨についてコメントしているため、そのような過去の発言からトランプ政権の仮想通貨政策を予測することができます。
トランプ氏がこれまでに語ってきた仮想通貨関連政策の内容や、それが仮想通貨業界にもたらす可能性のある影響としては以下のようなものが挙げられます。
共和党の公約に「仮想通貨を擁護していく方針」
共和党は2024年7月8日に公開した文書の中で「仮想通貨を擁護していく方針」を明確に示しています。
具体的には、イノベーション推進の一環として「民主党の非合法で非米国的な仮想通貨の取り締まりに終止符を打ち、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の創設に反対する」と書かれています。
また、この文章の中には「ビットコインをマイニングする権利を守る」とも記載されている他「全てのアメリカ人がデジタル資産を自己管理して、政府の監視や統制なく自由に取引する権利を持てるようにする」とも記載されています。
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仮想通貨に対する違法な取り締まりに終止符
公約の中にも記載されているように、トランプ氏は「現在の米国政府の仮想通貨に対する違法な取り締まりを終わらせる」という方針を何度も語っています。
米国証券取引委員会(SEC)は、多くの仮想通貨を有価証券に該当すると名指ししており、仮想通貨企業に対する訴訟も数多く行われていますが、トランプ政権下ではそのような取り締まりの件数が大幅に減少する可能性があると予想されます。
なお、トランプ氏は米ドルを強く支持しているため、2021年6月に「ビットコインは詐欺のようで、米ドルと競合する通貨であるため私は好きではない」と語っていましたが、2024年2月には「ビットコインを受け入れることができる」と語っています。
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就任直後に米SECのゲンスラー委員長を解雇
トランプ氏は今年7月に開催されたビットコインカンファレンスの中「就任初日に米SECのゲイリー・ゲンスラー委員長を解任して新しいSEC委員長を任命し、アメリカが未来を築くことを妨げないようにする」と語っています。
これは仮想通貨業界に対して厳しい取り締まりを続けている米SECの動きを止めるためのものであり「仮想通貨業界の人々はバイデン政権下で苦しんできたが、我々が政権を取り戻せばそれが終わることになる」ともコメントされています。
トランプ氏は「私が大統領になれば規制当局からの圧力が緩和されることになる」とも語っているため、トランプ政権下では米国で長年にわたって続いてきた規制当局と仮想通貨企業の戦いが終わりに向かう可能性があると期待されます。
米SECの次期委員長は誰になる?
ビットコイン・仮想通貨の大統領諮問委員会設置
トランプ氏は「私が大統領に就任したら、すぐにビットコインと仮想通貨の大統領諮問委員会を設置する」とも発言しています。
諮問委員会の任務は「業界全体の利益のために透明な規制ガイダンスを設計すること」とされていて、これを100日以内に完了させると説明されています。
同氏は仮想通貨規制の作成に関して「業界を憎むのではなく、愛する人々によってルールが作成される」と説明していて、「業界を明確で簡単、わかりやすく、公正にすることを望む人々、業界が繁栄することを望む人々がルールを作る」と語っているため、今後はより公正で明確な仮想通貨規制が定められる可能性があります。
トランプ氏は米国初の仮想通貨大統領
アメリカ・ファーストで仮想通貨業界もリード
トランプ氏は以前から様々な分野で「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を掲げていますが、トランプ氏は仮想通貨に関してもアメリカ・ファーストを掲げています。
同氏は「我々がやらなければ中国がやるだろうし、他の国がやるだろうから、他の国ではなく、我が国で正しくやる必要がある」と述べており、米国として仮想通貨やビットコインを受け入れる方針を示しています。
また、トランプ氏は「私の任期中、アメリカはビットコインと仮想通貨の最強国となる。仮想通貨関連の仕事やビジネスがアメリカに留まるようにして業界の成長を支援する。仮想通貨業界が繁栄し続けるために必要なすべての措置を講じる」とも語っているため、アメリカを世界一の仮想通貨大国に押し上げるための様々な措置が講じられる可能性があると期待できます。
「2位はあり得ない」とも発言
マイニング・自己管理の権利を保護
トランプ氏が掲げる仮想通貨関連の具体的な取り組みの1つとしては「ビットコインをマイニングする権利や仮想通貨を自己管理する権利を保護すること」が挙げられています。
仮想通貨のマイニングに対しては「大量の電力消費、騒音被害、地球環境への悪影響」などといった複数の問題が指摘されているため、一部の国ではマイニングを禁止する措置が講じられていますが、トランプ氏はマイニングを行う権利を保護すると語っています。
また、トランプ氏は「米国に住む5,000万人の仮想通貨保有者が、仮想通貨を自分で管理できるようにする権利を支持する」とも語っているため、"自分だけで資産を管理できる"という仮想通貨の大きな利点も保護されると期待されます。
トランプ氏はアルトコイン寄付にも対応
米国をビットコインマイニング大国に
トランプ氏は、個人や企業のビットコインマイニングを認めるだけでなく「アメリカをビットコインマイニングの大国にする」という方針も語っています。
同氏は「仮想通貨が未来を定義するのであれば、米国でマイニングして生産されるべきだ」と述べており「アメリカは誰もが認めるビットコインマイニングの大国となる。家族を中国に移す必要はない」とも語っています。
米国政府がビットコインマイニングに参入して他国がその動きに続いた場合には、ビットコインの採用が急速に拡大して、仮想通貨市場の成長も大幅に促進される可能性があると予想されます。
マイニング企業のCEOとも面会
米国政府が保有・所得するBTCを100%保持
トランプ氏は「私が当選した場合は、米国政府の方針として現在政府が保有または今後取得するすべてのビットコインを100%保有し続けることを宣言する」とも語っているため、現在保有しているBTCや今後取得されるBTCは、売却することなく保持され続けることになると予想されます。
米国政府は仮想通貨関連の事件で押収した約21万BTC(BTC総供給量の1%)を保有しているため、これが売却されるか保持されるかは非常に重要な意味を持ちます。
売却された場合には市場に大きな売り圧力がかかり、一般投資家もそれを懸念して弱気になる可能性がありますが、米政府が100%保持する場合にはBTCの流通供給量が大幅に減少するため、希少価値が高まって価格にもプラスの影響をもたらすと期待されます。
BTCが米国政府の準備金に?
米国の債務返済におけるBTC活用
トランプ氏は今年8月のインタビューで米国の債務返済にビットコインを活用することも示唆しており、「ビットコインのような仮想通貨を活用することによって35兆ドル規模の債務問題を解決できるかもしれない」との考えを語っています。
債務返済におけるビットコイン活用は米共和党のシンシア・ルミス議員からも提案されていて、具体的には「5年間でビットコイン供給量の5%に相当する合計100万BTCを購入し、少なくとも20年間保有すること」が提案されています。
この法案の目的は米国の債務を減らすことにあり、ビットコイン準備金を採用すれば2045年までに負債を半分まで削減できる可能性があると期待されています。
35兆ドルの債務を帳消しに
中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行阻止
世界各国では、中央銀行が発行するデジタル通貨である中央銀行デジタル通貨(CBDC)の研究開発が進められていますが、トランプ氏は「私が大統領である限りCDBCの発行は認めない」と語っています。
CBDCは中央銀行が管理するデジタル通貨であるため「CBDCが一般化すると、お金に関するプライバシーがなくなり、不当な理由で突然資産が没収される可能性がある」と懸念する意見もでていますが、トランプ氏は「CBDCの発行を認めず、自己保管の権利を常に保護する」と語っています。
トランプ氏は今年6月に「BTCマイニングはCBDCに対する最後の防衛線となるかもしれない」との考えも語っており「残り全てのビットコインを米国でマイニングして米国産のビットコインにしたい」との意見も語っています。
残り全てのBTCを米国産に
トランプ政権の仮想通貨政策に期待
ドナルド・トランプ氏が米大統領就任後にこれら全ての取り組みを実施するかは不明であるものの、その一部が実行に移されただけでも仮想通貨業界には大きなプラスになると期待されます。
就任後に意見や言動が変わる可能性があることには注意が必要ですが、トランプ氏はすでに複数の仮想通貨を保有していて、NFTコレクションなども多数販売、仮想通貨による政治献金も受け入れ、DeFiプロジェクトなども立ち上げられているため、仮想通貨関連の取り組みが継続される可能性は高いと予想されます。
仮想通貨・ブロックチェーン・Web3などの技術は米国外の国や地域でも徐々に採用されていて、その範囲は徐々に拡大してきているため、米国政府が仮想通貨を積極的に取り入れ始めた場合には、他の国でも仮想通貨活用の動きが加速する可能性があります。
いずれにせよ、トランプ政権の今後の動きが仮想通貨市場に大きな影響を与えることは確かであるため、今後も米国やトランプ氏に関するニュースには特に注目です。
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執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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