Voyager Digitalの資産「Binance US」が約10億ドルで買収
破綻した暗号資産レンディング企業「Voyager Digital(ボイジャー・デジタル)」は2022年12月19日に、同社資産の売却先として暗号資産取引所バイナンスの米国部門である「Binance US」を選定したことを発表しました。Binance USはVoyager Digitalの資産を10億2,200万ドル(約1,400億円)で取得する予定だと報告されています。
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顧客資産の迅速な返済に向けて
Voyager Digital(ボイジャー・デジタル)は2022年12月19日に、同社資産の売却先として暗号資産取引所バイナンスの米国部門である「Binance US」を選定したことを発表しました。
ボイジャー・デジタルは暗号資産のレンディングサービスなどを提供していた企業であり、仮想通貨の価格暴落でポジションを強制清算された仮想通貨ヘッジファンド「Three Arrows Capital(3AC)」に巨額融資を行なっていたため、同社の破綻の影響で2022年7月には引き出しを一時停止、米連邦破産法11条(チャプター11)に基づく破産申請を行ったことが発表されています。
これまでは同社資産の売却先を選ぶための入札が行われていましたが、『顧客や債権者に最大の価値を迅速に返済する』という目標達成に向けて評価を行った結果、Binance USの入札額が最も高額であったため、Binance USを運営する「BAM Trading Services」が資産売却先に選ばれたと説明されています。
Voyager Digitalの公式発表によると、Binance USはVoyager Digitalの資産を10億2,200万ドル(約1,400億円)で取得する予定であるとのことで、その内訳は「Voyagerの仮想通貨ポートフォリオの現在の市場価値:約10億ドル」と「今後の増分価値:2,000万ドル」で構成されていると報告されています。
なお、Voyager Digitalの3ACに対する請求権は破産財団に残っているとのことで、『これらの請求権やその他の非放棄請求権に対する将来の回収は破産財団の債権者に分配される予定』とも説明されています。
今後は債権者投票を実施したり、慣習的な取引完了条件を満たす必要があるものの、2023年1月5日には両社間の資産売買契約締結の承認を得るために裁判所のヒアリングが行われる予定であるとのことで、一連の取引は2023年4月18日までに終了するように設定されていると報告されています。
Binance USの入札は「裁判所が承認した支出およびプラットフォームの機能に従って、顧客に暗号資産を現物で返還すること」を目的としたものであるとのことで、今回の契約合意によってVoyagerはできるだけ早く顧客資産の返還に取り組むことができると説明されています。