Ripple社CTO「リップル(XRP)は証券ではない」規制の不確実性を指摘
Ripple(リップル)社でCTOを務めているDavid Schwartz(デイビッド・シュワルツ)氏は、2019年3月9日〜18日にかけてアメリカで開催されている「SXSW 2019」でスピーカーとして出演し、同氏が「XRPは証券ではない」と考えている理由について説明を行い「不確実な規制や法律が仮想通貨の開発や発展の障害になっている」と指摘しました。
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「XRP」と「Ripple」の歴史
David Schwartz(デイビッド・シュワルツ)氏を含めた多くのRipple関係者たちは、以前から「仮想通貨XRPは証券には該当しない」という考えを語っており、長い間議論が交わされてきました。
シュワルツ氏は、XRPが証券であるかどうかを評価するためには「XRP」と「Ripple」の歴史を知る必要があると説明しており、「XRPがどのように作られたか」を説明し、Ripple社がXRP元帳を取り巻く「xRapid/xVia/xCurrent」などの技術を利用するために作られた会社であることを説明しています。
XRPは2012年に、Arthur Britto(アーサー・ブリット)氏、私自身、Jed McCaleb(ジェド・マケーレブ)氏、そしてChris Larsen(クリス・ラーセン)氏がXRP元帳を立ち上げたときに生まれました。
このシステムを構築した元の創設者は、会社を上手く機能させ、それを取り巻くエコシステムを構築するために大量のXRPをRipple社に送りました。
シュワルツ氏やその他のRippleメンバーは「XRP」と「Ripple」が別の存在であるということを以前から強調しており、Ripple社のCEOであるBrad Garlinghouse(ブラッド・ガーリングハウス)氏も以前から『XRPは「Ripple Labs」が作成したわけではない』ということを強調しています。
ガーリングハウス氏もシュワルツ氏と同様の意見を語っており、昨年開かれたカンファレンスでは、Ripple社が保有している「XRP」は、Ripple社が設立された当初に「贈り物」として受け取ったものであり、その後は「XRPエコシステムへの投資」を行なっているため、すでにその4分の1は失われているということを強調しています。
ガーリングハウス氏が以前に語ったコメントはこちら
「SECの見解」と「ハウェイ・テスト」
SEC(米国証券取引委員会)は今のところ「XRPが証券である」とは宣言していないものの、逆に「XRPは証券ではない」とも述べていないため、実際にどのような判断が下されるかはわかりません。もしも「証券である」との判断が下された場合、Ripple社は"未登録の証券で作業を行なった"として非難される可能性があります。
仮想通貨やトークンが証券に該当するかどうかを事前に判断するための基準としては「Howey Test(ハウェイ・テスト)」と呼ばれるものが存在しており、このような議論を行う上で頻繁に取り上げられています。
このテストは、
・資金を集めているか
・共同事業であるか
・収益性があるか
という3つの要素を軸にして、様々な項目に「対象となる仮想通貨が該当するかどうか」を判断することによって、証券とみなされるかどうかを見極める方法となっています。
ハウェイ・テストは当然「XRPの分類」を判断するためにも利用されており、SECの元メンバーであるMichael Didiuk(マイケル・ディディク)氏は以前にこのハウェイ・テストに基づいて『XRPは有価証券ではなく通貨である』との見解を語っています。
最終決定を下すのは「SECと裁判所」
シュワルツ氏は、依然として自分自身やRippleのメンバーが「XRPは証券ではない」と自信を持っていることを語っているものの、ハウェイテストがどのように適用されるのかを判断するのは非常に困難なことでもあるため「最終的に決定を下すのはSECや裁判所になるだろう」と語っています。
SECは最近「これらのトークンに証券法がどのように適用されるか」についての話し合いを行なっていますが、彼らは白黒のテストを行なっていません。SECはテストを行いましたが、それは曖昧な用語でいっぱいです。
ハウェイテストがどのように適用されるかを理解するのは非常に難しいことです。私たちは「XRP間違いなく証券ではない」と自信を持っていますが、最終的にその決定を下すのはSEC、そしておそらく裁判所になるでしょう。
シュワルツ氏は、仮想通貨の開発や発展の"最大の脅威"となっているのは「法律や規制」であると語っており、明確な判断ができないような不確実な状況をいち早く解決することが重要だと強調しています。
私たちはこの不確実性を取り除く必要があります。
私は規則を破っているのかいないのか分からないよりも、悪い法律が定められているほうがまだいいです。
現時点でXRPは証券としてはみなされておらず、Ripple社もそれを確実なものにするための努力を行なっています。SECのJay Clayton(ジェイ・クレイトン)委員長は最近「デジタル資産の性質は"静的"なものではなく"時間とともに変化するもの"である」との意見に同意していることを語っているため、今後の取り組みなどを通じて「XRPは証券ではない」という基準を維持することができれば、最終決定はRipple社やXRPコミュニティーの人々にとって嬉しいものとなるでしょう。
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2019年3月17日|リップル(Ripple/XRP)の価格
リップル(Ripple/XRP)の価格は、過去2ヶ月間に渡って35円前後での推移を続けており、2019年3月17日時点では「1XRP=35.47円」で取引されています。過去3ヶ月間での最安値は、1月29日に記録した約31円となっています。
2018年12月17日〜2019年3月17日 XRPのチャート(引用:coingecko.com)