Libra(リブラ)は「ビットコインの脅威」となるのか?市場に与える影響を考察
Facebook(フェイスブック)の独自仮想通貨として世界的に大きな注目を集めている「Libra(リブラ)」の詳細が明らかになったことによって「今後の仮想通貨業界はどうなっていくのか?」という話題も多く取り上げられています。これに関する意見は専門家によって分かれており、現在は様々な議論が行われています。
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Libraが「ビットコインの立場」を奪う可能性
仮想通貨Libra(リブラ)の発行は、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨に投資している人々にとって「良いニュースなのか?悪いニュースなのか?」に関しては意見が分かれています。
ビットコインコミュニティのメンバーでありアメリカ・コネチカット州に拠点を置くブローカー・ディーラー「Euro Pacific Capital」のCEOでもあるPeter Schiff(ピーター・シフ)氏は「仮想通貨Libraの誕生はビットコインにとって"悪いニュース"だ」と主張しています。
Facebookの新しい仮想通貨「Libra」は、ビットコインにとっては悪いニュースです。Facebookはビットコインが成長を期待している「インフレ率の高い、銀行が停滞している国々」の市場をターゲットにするでしょう。
Libraの価値は安定しているため、ビットコインよりもはるかに簡単かつ容易に交換手段として使用することができます。
仮想通貨Libraは「ドル・ユーロ・ポンド・円」などのような"複数の法定通貨"によって構成される「通貨バスケット」に連動したステーブルコインになると言われています。既存の法定通貨は、国際事情が不安定化している影響もあり、国の代表者の発言などによって通貨の価値が大きく下落することなどもありますが、複数の通貨を組み合わせることによって、より価格の安定した通貨とすることができます。
また"Facebookはすでに世界中に20億人ほどのユーザーを有している"ため、実際に「Libra」が発行された場合には世界中で急速に普及することになると予想されます。既存の通貨よりも価値が安定していて、世界中で利用され、簡単に送金できる「Libra」は、全く新しい"グローバルコイン"として広く普及し、現在存在している数多くの仮想通貨を"不要なもの"にしてしまう可能性もあると言えるでしょう。
ビットコインとリブラは「全く異なる」という主張
ピーター・シフ氏は「Libra」がビットコインの役割を奪う可能性があるため、ビットコインにとって悪いニュースだと説明していますが、他の専門家たちは「ビットコインとリブラは基本的な仕組みが全く異なるため、脅威ではなく追い風になる」と主張しています。
そのように主張している人々は、ビットコインの特徴として「無国籍で、分権化された、検閲抵抗力のある、デフレ通貨」であるということをあげており、これらの特徴はリブラには当てはまらないと説明しています。
中央集権か、非中央集権か
リブラは、Libraエコシステムの発展を目指す独立した団体である「Libra協会」が運営を担っており、ネットワークを支えている複数の企業がその運営を支えています。これは「中央集権的である」ということでもあるため、「非中央集権的な通貨」であるビットコインとは大きく異なります。
仮想通貨を使用する人々が「中央集権型」と「非中央集権型」のどちらを選択するかによって、最終的な普及率は変わりますが、リブラの発行によって仮想通貨が広く利用されるようになった時に「非中央集権」という仕組みが重要だと判断された場合には、リブラの発行がビットコインの普及を後押しする形になる可能性もあります。
個人情報の取り扱いに関する違い
ブラジルのメディアである「Estado de São Paulo」の報道によると、Facebookのブロックチェーン研究チームでトップを担っているDavid Marcus(デビッド・マーカス)氏は『リブラのデータは犯罪防止とコンプライアンス遵守のために規制当局に共有される』と語ったと報じられています。
つまり「Libra」が犯罪などに通貨が使用された場合には、個人の送金履歴などのデータが規制当局に提供されることになります。これは仮想通貨業界で問題となっている様々な犯罪行為に対する対策となりますが、これに関しても「個人情報の取扱い方」という面で重要な問題にもなり兼ねません。
投資対象となるのは「ビットコイン」
また先述したように「Libra」の価値は非常に高い水準で安定しているため、価格が大きく下落するようなこともなければ、大きく上昇することもありません。つまりリブラは「投資して利益を得る」といった仮想通貨ではなく、あくまでも「送金手段・支払い手段として利用するための通貨」ということになります。
ビットコインも送金手段・支払い手段として使用されることが期待されていますが、現時点では「多くの人々が投資して利益を得るために保有している」というのが現状であるため、"投資対象"としてのビットコイン需要は、今後も一定の割合で存在し続けると予想されます。
仮想通貨業界に「Libra」が与える影響は?
ビットコインとリブラには基本的な違いがあるため「リブラはビットコインの脅威にはならない」との意見が多く語られています。しかし、今後世界中の20億人以上の人々に利用されることになるであろう「Libra」が"送金手段として魅力的である"ということは事実であるため、少なからずビットコインを含めた多くの仮想通貨に影響を与える可能性があると考えられます。
ビットコインは「分散化されていて、価格が上昇している」という特徴を持っているため、Libraとは明確に区別される可能性が高いと考えられますが、その他の「送金手段として主に利用されている仮想通貨」や「特定の法定通貨に価値が裏付けられたステーブルコイン」に関してはリブラが大きな脅威になってくるとも言われています。
また、詳細は明らかにされていないものの「Libra」のプロジェクトでは「LIT」と呼ばれるトークンが発行されることも発表されているため、このトークンがどのように機能するかにも注目が集まります。
どの通貨が最終的に選ばれることになるかは現時点ではわからないものの、Libraの公開によって「仮想通貨」自体は今後もさらに普及していくことになると予想されるため、今後は"Facebook以外の大手企業が独自の仮想通貨を発行する"といった動きが出てくる可能性もあると言えるでしょう。
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