Ford:ブロックチェーンやジオフェンシングで「空気が綺麗な都市」目指す
大手自動車メーカーであるFord(フォード)は、ブロックチェーンやジオフェンシング(*1)の技術を「プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)」に搭載することによって、車両が"排気ガス規制区域"に侵入した際に自動的に"電気駆動モード"が発動する仕組みを構築し、ドイツのケルンなどでテストを行なっています。この技術が確立されることによって、都心部の空気汚染を減らし、環境を保全することができると期待されています。
(*1)ジオフェンシング:GPS・RFID(無線ICタグ)・Wi-Fi・携帯データ通信などによる位置情報データを使用して、特定の場所の周りに「仮想的な境界(ジオフェンス)」を設定し、モバイル端末やRFIDタグがその境界線内に入った際、また境界線から出た際に、アプリなどのソフトウェアで特定のアクションを実行する技術のこと。
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「排気ガス規制区域の変更」にもスムーズに対応
Ford(フォード)は、同社が「プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)」を用いてロンドンとスペイン・バレンシアの路上で行なっているテストをドイツのケルンでも実施することを発表しました。このテストは人口の多い都心部の空気を綺麗にすることを目的としたものであり、ブロックチェーンやジオフェンシングなどの技術が活用されています。
ドイツでは、旧式の排気ガス規制レベルにしか対応していないディーゼル車の市内走行を禁止する措置が実施されており、汚染度の高い車両の運転ができない"排気ガス規制区域"が設定されていますが、これらの地域はドライバーにとって認識しづらいという問題がありました。
今回のテストでは、このような問題を解決するための施策が取られており、テストのために準備された合計10台のPHEVには、ブロックチェーンやジオフェンシングの機能を搭載したデバイスが備えられています。この試乗車が排気ガス規制区域に侵入すると、車両の"電気駆動モード"が発動し、走行距離・排出モード・時間などのデータがブロックチェーン上に記録され、市当局・車両・車両関係者などの間で共有されます。
車両にはジオフェンシング技術が活用されているため、排気ガス規制区域が変化した際にもリアルタイムに適応することが可能だと説明されています。環境保護のための"排気ガス規制区域"は、将来的に天候や環境条件に基づいて管理区域の調整や新しい区域が設定される可能性があるものの、ジオフェンシング技術を採用することによってスムーズに対応することができると期待されます。
排気量の記録・追跡に最適なブロックチェーン技術
「Ford-Werke GmbH」の取締役会会長であるGunnar Herrmann氏は、ブロックチェーン技術は車の排気量を安全に記録し、データを追跡することができるため、今回のテストに最適な技術であると説明しています。
ケルンでテストされているブロックチェーン技術は、車両の排気量を安全かつ改ざんが難しい状態で記録し、データを追跡することもできるため、PHEVパイロットにとって理想的なものになります。
排気量データの安全性、信頼性、透明性は、このプロジェクトのすべての利害関係者にとって最も重要であり、都市の空気をきれいにするというビジョンの鍵となります。
このプロジェクトでは、Fordが「SmartCity Cologne」の公式パートナーになることも見込まれているとされています。ケルンのエネルギー供給業者である「RheinEnergie AG」が立ち上げた「SmartCity Cologne」は、地域全体のパートナーが気候保護とエネルギー移行を促進する技術とサービスを試験するための共同プラットフォームだと説明されています。
ブロックチェーン技術を積極的に活用している「Ford」は、HONDA(ホンダ)などの大手メーカーも参加しているブロックチェーンの国際団体「モビリティ・オープン・ブロックチェーン・イニシアチブ(MOBI)」に加盟しており、先日は「運転中の自動決済」をブロックチェーンで効率化するプロジェクトが進められていることなども報告されています。