ブロックチェーンは「e-Sports」をどのように変えるのか?
eスポーツ(e-Sports)業界では仮想通貨(暗号資産)やブロックチェーン技術が積極的に活用され始めています。近年世界的に人気が高まってきている"オンラインゲーム"はこれらの技術との相性が特に良いため、eスポーツの大会などにも多くのメリットをもたらすことができると期待されています。
こちらから読む:eスポーツに多くの恩恵をもたらす「ブロックチェーン技術」とは?
e-Sports(eスポーツ)とは?
e-Sports(eスポーツ)とは、エレクトロニック・スポーツ(Electronic Sports)の略語であり、ビデオゲームで行う対戦を"スポーツ競技"として捉える際に使用する名称のことを指します。1990年後半頃からは欧米で高額な賞金をかけた「eスポーツの世界大会」なども開催され始めており、現在は1億円を超える年収を稼ぐプロゲーマーなども存在しています。
スポーツの世界に複数の種目があるように「eスポーツ」の世界にも複数のジャンルが存在しており、代表的なものとしては、
・一人称または三人称視点のシューティングゲーム「FPS/TPS」
・複数人でオンラインバトルを行う「MOBA」
・リアルタイムで行う戦略ゲーム「RTS」
・一人のキャラクターを操作して戦う「格闘ゲーム」
・リアルなスポーツをゲームにした「スポーツ系ゲーム」
・デジタル化したカードで対戦を行う「DCG」
・簡単なルールで多くの人々にプレイされている「パズルゲーム」
などが存在します。
eスポーツの選手(プロプレイヤー)は「スポンサーによる援助」や「キャンペーン出演料」などを収入源としており、最近では有名なスポーツチームや企業などに"eスポーツ選手"として所属しているプレイヤーも存在しています。
eスポーツの新たな基盤「分散型プラットフォーム」
eスポーツとブロックチェーン技術を組み合わせた代表的な事例としては「eスポーツの分散型プラットフォーム」が挙げられます。このようなプラットフォームは現時点でも複数立ち上げられており、多くのプラットフォームはサービス上で利用できる独自の仮想通貨を発行しています。
一般的にeスポーツには「プレイヤー・ゲーム開発者・スポンサー・メディア・広告主・チームマネージャー」などといった多くの利害関係者が関与しますが、eスポーツのブロックチェーンプラットフォームはこのような世界中の利害関係者が繋がる大規模な基盤として機能します。
ブロックチェーンや仮想通貨を活用したプラットフォームでは、様々な支払いプロセスで無駄なコストを削減してプレイヤーなどに対して支払われる報酬を最大化したり、詐欺などの問題を排除したり、ゲーム・試合の視聴者にインセンティブを提供したり、様々な取引の透明性を高めたりなどといった多くのメリットがもたらされると期待されます。
賞金の支払い自動化で「詐欺のリスクを排除」
eスポーツの大会の中には優勝者に高額な賞金が支払われるものも多く存在しますが、現在は「賞金の支払いが行われない」などといった詐欺の危険性が潜んでいると伝えられています。
ブロックチェーン上で契約を自動的に実行する技術である「スマートコントラクト」を活用すれば、試合結果が確定した時点で自動的に支払いを実行することができるため、詐欺のリスクを排除して、安心して試合に参加できる環境を構築することができます。
また、賞金などの支払い記録をブロックチェーン上に記録する仕組みを採用すれば、各種支払いプロセスに透明性をもたらすことができると期待されます。
「投げ銭機能」や「視聴者への報酬制度」
仮想通貨やブロックチェーン技術を活用したプラットフォームでは「投げ銭機能」や「視聴者に対する報酬制度」などが積極的に取り入れられていますが、このような"新しいインセンティブ制度"はeスポーツのプラットフォームにも多くのメリットをもたらすと期待されています。
具体的には「プレイヤーなどに対する投げ銭・寄付」や「視聴者に対する報酬制度」などが考案されており、これらの仕組みを採用することによって、ファンが自分の好きな選手を直接応援することができるようになり、eスポーツのマーケティング担当者も多くのユーザーを惹きつけてコミュニティを活発化させることができるようになると考えられています。
なお、このような報酬の取引履歴もブロックチェーン上に記録することができるため、何か問題が発生した場合などには「チャージバック」と呼ばれるプロセスなどを通じて支払ったお金を払い戻すこともできるとされています。
ゲーム内資産がもたらす「新たな可能性」
ブロックチェーン技術を活用すれば、これまでゲーム内で使用されていたアイテムやカードなどを「価値のある資産・トークン」として保有し、他のプレイヤーと取引することができるようになります。「Non-Fungible Token/NFT」として知られているこれらのゲーム内資産は"希少価値のあるアイテム"として実際に高値で取引されているため、eスポーツの世界にも大きな変化をもたらすと予想されます。
eスポーツのプラットフォーム上で「ブロックチェーンゲーム」や「NFT」がサポートされている場合には、プラットフォーム上で他のプレイヤーとNFTを取引することができます。大会の優勝賞品としてNFTを採用すれば、現金で賞金を渡す大会とは少し違った楽しみ方をすることができるでしょう。
NFTでデッキやチームを編成してバトルするゲームなどの場合には、それぞれのプレイヤーが所有しているNFTに大きな違いが出てくることになるため、試合がより白熱したものになると予想されます。
ファントークンを通じた「資金調達・交流強化」
ブロックチェーン技術はeスポーツチームに新しい資金調達方法をもたらします。eスポーツプラットフォーム上で視聴者から寄せられる投げ銭や寄付金などはプレイヤーにとって"新たな資金源"となりますが、一部のチームは独自の仮想通貨を発行して資金調達を行なっています。
世界的に有名なリアルタイムストラテジーゲーム「DOTA2(ドータ2)」に特化したeスポーツチームである「OG」は、スポーツファンとチームを繋ぐ革新的なサービスを提供している「Socios.com(ソシオスドットコム)」のプラットフォームに参加して"公式ファントークン"を発行しています。
このファントークンは「チームの入場曲を決定する」などといった重要な決定を行う際のファン投票などに使用することができるようになっているため、トークンを発行するチームは新たな収入源を獲得して、ファンの人々はチームとの交流を深めることができるようになっています。
ブックメーカーなどの「ギャンブル系サービスが活発化」
eスポーツのブロックチェーンプラットフォームでは、仮想通貨で"賭け"を行うことができるサービス(ブックメーカー)が提供されているケースがあります。ギャンブル関連のサービスは国によって規制が異なるため、地域や参加方法によって利用できない場合がありますが、このようなサービスはeスポーツのコミュニティに活気を与えています。
このようなプラットフォーム上で行われる賭けでも、支払いにスマートコントラクトの技術を採用することができるため、支払いプロセスを簡素化して安心して賭けを行うことができます。
また、仮想通貨を利用通貨として採用しているブックメーカーであれば、複数の国の人々が気軽に賭けに参加することができるため、今後はeスポーツ関連のサービスでも仮想通貨を用いたギャンブル系のサービスが増加することになると予想されます。