
価格高騰に伴い増加する「仮想通貨関連の詐欺」に要注意|過去の事例と被害を避けるための対策
仮想通貨業界では、価格上昇などで注目が集まっている時期に詐欺やハッキングなどの被害が増加する傾向が見られます。このような状況下では、投資家や一般ユーザーの警戒心が特に重要となります。
仮想通貨詐欺は年々巧妙化しており、その手口も多様化しています。初心者だけでなく、経験豊富な投資家でも被害に遭うケースが報告されています。そのため、常に最新の情報を入手し、セキュリティ意識を高く保つことが不可欠です。
この記事では、過去に実際に起こった詐欺事例を紹介するとともに、それらの被害を未然に防ぐための具体的な対策を紹介します。仮想通貨に興味がある方、すでに投資している方、そして仮想通貨に関わる全ての人々にとって、有用な情報源となるかもしれません。
以下の目次に沿って、仮想通貨詐欺の実態と対策について詳しく解説していきます。この記事を通じて、皆様が安全に仮想通貨を利用し、不必要なリスクを回避できるようサポートいたします。
仮想通貨は詐欺なのか?
仮想通貨(暗号資産)について詳しく知らない方の中には「仮想通貨自体が詐欺じゃないの?」と思っている方もいるのではないでしょうか?
仮想通貨業界は確かに詐欺が多い業界ではありますが、仮想通貨自体は詐欺ではありません。仮想通貨は世界中で何万種類も発行されているため、詐欺の仮想通貨が存在したり、仮想通貨を使った詐欺が行われていたりすることはありますが、詐欺ではない仮想通貨もたくさん存在します。
また「価格変動が激しいこと」や「仮想通貨は必ず儲かると宣伝する人がいること」なども詐欺と言われる要因になっていると考えられます。
詐欺ではない有名な仮想通貨であっても、価格高騰時に購入した場合などにはその後の下落で価値が半分以下になってしまうこともあるため、そのような経験をした場合には詐欺だと感じるかもしれません。
ビットコイン(BTC)のような主流の仮想通貨は詐欺ではありませんが、だからといって"絶対に儲かる"ということはなく、ビットコインを使った詐欺サイト・詐欺サービスなども数多く存在しているため、実際に仮想通貨に投資する場合には、しっかりと知識をつけ、余剰資金を用いて自己責任で投資することが重要です。
仮想通貨市場は比較的新しい分野であり、法規制や監視体制が追いついていない面もあります。そのため、一部の悪質な業者や個人が詐欺的な行為を行う余地が残されています。しかし、多くの国々で仮想通貨に関する法整備が進められており、取引所の登録制度や利用者保護の仕組みが整えられつつあります。
投資を検討する際は、信頼できる情報源から十分な知識を得ること、そして自身の判断で慎重に決定することが大切です。仮想通貨そのものを詐欺と一括りにするのではなく、個々のプロジェクトや取引の信頼性を見極める目を養うことが、安全な仮想通貨の利用につながります。
仮想通貨に関する詐欺の事例
仮想通貨に関する詐欺被害の報告は頻繁に行われており、国民生活センターのデータでは「2020年度に3,347件、2021年に6,379件、2022年に5,586件、2023年に8,446件、2024年に788件(2024年5月31日現在)」の相談が寄せられたと報告されています(国民生活センター)。
特に注意が必要なのは、仮想通貨の価格が高騰している時期や仮想通貨が世間の注目を集めている時期です。このような時期には、詐欺師たちの活動が活発化する傾向が顕著に見られます。実際に、当メディアにも「仮想通貨詐欺の被害に遭った」という相談が数多く寄せられており、被害の深刻さが浮き彫りになっています。
仮想通貨詐欺の手口は多岐にわたり、年々巧妙化しています。被害を未然に防ぐためには、詐欺の典型的なパターンや最新の手口を把握しておくことが重要です。以下の項目では、実際に発生した仮想通貨詐欺の事例や手口を詳しく解説しています。
少しでも怪しいと感じた場合には、ここで紹介する詐欺事例を参考にしながら、慎重に対処することをおすすめします。また、不安な点がある場合は、専門家や信頼できる人に相談することも有効な対策の一つです。
仮想通貨投資を行う際は、常に最新の情報を入手し、セキュリティ対策を怠らないことが、安全な取引の鍵となります。
偽サイト・偽アプリ・フィッシング詐欺
【詐欺の概要】
実在する仮想通貨取引所やサービス、アプリ、ウェブサイトなどの偽物を巧妙に作成し、様々な手法でユーザーを騙して偽サイトなどに誘導することで、仮想通貨を不正に取得する手口です。
これらの偽物は、本物のサイトやアプリと非常に似通ったデザインやURLを使用するため、見分けるのが困難な場合があります。
【注意が必要なポイント】
偽サイトやアプリの多くは、公式サイトとほぼ同一のデザインを採用し、URLも一見すると本物と見分けがつきにくいものが使用されています。
さらに、公式アプリストアに詐欺アプリが掲載されているケースや、Google広告を利用して検索結果の上位に詐欺サイトが表示されることもあるため、常に警戒が必要です。
【偽サイトなどへの誘導手法の例】
詐欺師たちは、以下のような多様な手法を用いて、ユーザーを偽サイトやアプリに誘導しようとします:
- 各種SNSへの詐欺リンク掲載
- 困っている人に詐欺リンクを送る
- SNSのメッセージなどで直接リンクを送る
- 仮想通貨の無料配布を謳って誘導
- YouTubeなどで詐欺サイトに誘導する
- Google広告を利用して詐欺サイトを掲載する
- 公式アプリストアに偽アプリを掲載する
特に注意が必要なのは、仮想通貨関連メディアに「詐欺リンクを含むPR記事」を掲載させようとする手口です。信頼できるメディアであっても、このような詐欺の温床となる可能性があります。
【被害を避けるための対策】
詐欺の手口は年々巧妙化しているため、常に警戒心を持つことが重要です。以下の対策を日頃から実践することで、詐欺被害のリスクを大幅に軽減できる可能性があります:
- 常にURLを確認して公式サイトであることを確認する
- SNSやメッセージなどで共有された怪しいリンクはクリックしない
- Google検索時のトップに表示される「スポンサー」のリンクは信用しない
- パスワードなどの重要情報を入力する際にはURLなどをしっかり確認する
- アプリをダウンロードする際には公式サイトのリンクからアクセスする
- よく知らない人から共有されたリンクをむやみにクリックしない
- ウォレットを安易にウェブサイトに接続しない
- トランザクション署名時などには内容をしっかりと確認する
これらの対策を実践することで、偽サイトや偽アプリ、フィッシング詐欺の被害に遭うリスクを大幅に低減することができます。常に最新の情報にアンテナを張り、セキュリティ意識を高く保つことが、安全な仮想通貨取引の鍵となります。
SNSなどを通じた接触・国際ロマンス詐欺
【詐欺の概要】
種SNSや交流アプリなどで接触を図り、時間をかけて被害者との信頼関係を構築し、最終的に詐欺サイトや詐欺の投資案件に誘導したり、「困っているから仮想通貨を送金してほしい」と呼びかけてお金を盗む。国際ロマンス詐欺・豚の屠殺などが該当する。
【注意が必要なポイント】
仮想通貨・パソコン・スマホに関する知識が少ない人を標的にするケースも多い。相談相手がいないことによって信じてしまう場合も。時間をかけて信頼を得ようとしてくるので「ネット上で知り合った深く知らない人とはお金のやり取りをしない」ということが重要。
【被害を避けるための対策】
- SNSなどで知り合った人と金銭的なやり取りをしない
- SNSなどで投資案件などを勧めてくるケースはまず疑う
- SNSなどで共有されたリンクを安易にクリックしない
- 投資を行う際にはライセンス取得済みの大手サービスを使う
- 信憑性が不明な海外サービスは利用しない
- 自分が理解できないものに巨額の資金を投じない
- 少しでも怪しいと感じたら詳しい人などに相談する
【BITTIMES編集部からのコメント】
当メディアで実際に何度か詐欺被害の相談を受けているケースです。高齢の方・相談相手がいない方などが被害に遭っているケースも多いようで『家族・警察・公的機関にも相談したが、ちゃんと相手にしてもらえなかったから、一番優しかった連絡相手(本当は詐欺師)を信用してしまった』という声もありました(※この方はBTC購入を手伝うと騙されて数百万円の被害を受けています)。
知人や家族などに仮想通貨関連で悩んでいる方がいる場合にはしっかりと相談に乗っていただき、高齢の家族がいる場合には普段から「詐欺被害に遭っていないか」を心がけて、詐欺被害を未然に防ぐための対策を講じておくことが重要であると感じます。
実際の事例はこちら
投資詐欺・資金の持ち逃げなど
【詐欺の概要】
「絶対に儲かる・大きな利益が得られる」などの謳い文句で投資家から資金を集め、ある程度の資金が集まった段階でプロジェクトや公式サイトなどを閉鎖・放置して、集まった資金を持ち逃げする。この手口は「出資金詐欺」や「ポンジスキーム」とも呼ばれることがある。
【注意が必要なポイント】
「最初は実際に報酬を支払って信頼させ、より多くの金額が集まった時に持ち逃げする」などといった巧妙なものも存在するため注意が必要。絶対に儲かるというのはあり得ないということを念頭に置き、利益が特に強調されてるようなケースではより慎重になることが重要。
また、短期間で急激な成長を約束するプロジェクトや、投資スキームが不透明な案件には特に警戒が必要である。
【被害を避けるための対策】
- 絶対に儲かる等の言葉を安易に信じない
- 高利回りを謳うようなケースは特に警戒する
- 投資する前にプロジェクトの詳細をしっかり確認する
- 対象企業のライセンス有無・信頼性などを調査する
- 国内外のネット検索で評価をチェックする
- 失って困るほどの金額を投資しない
- プロジェクトの運営者や開発チームの背景を徹底的に調査する
- 投資を急かされても冷静に判断し、時間をかけて検討する
- 専門家や信頼できる人物に相談し、第三者の意見を聞く
こうした詐欺は、仮想通貨市場が活況を呈している時期に特に増加する傾向があるため、市場の盛り上がりに惑わされず、常に冷静な判断を心がけることが重要である。
ユーザーの誤送金を狙う詐欺
【詐欺の概要】
標的となるウォレットアドレスに類似したアドレスを作成して、標的アドレスに少額の仮想通貨を送金し、被害者の誤送金を狙って仮想通貨を盗み取る。アドレスポイズニング詐欺・ゼロ送金攻撃とも呼ばれる。この手法は、仮想通貨取引の不可逆性を悪用した巧妙な詐欺手口である。
【注意が必要なポイント】
仮想通貨を普段から利用している上級者でも被害に遭うことがあるため十分な注意が必要。過去には「米麻薬取締局がアドレスポイズニング詐欺の被害に遭ったこと」も報告されている。この事実は、詐欺の巧妙さと被害の深刻さを物語っている。
【被害を避けるための対策】
- 仮想通貨送金時にはアドレスをしっかり確認する
- 送金時には取引履歴からのコピペはしない
- 可能な限り、QRコードを使用してアドレスを読み取る
- 小額の試験送金を行ってから本送金を実施する
- 二段階認証など、追加のセキュリティ対策を講じる
このような詐欺被害を防ぐためには、常に最新の情報を入手し、自身のセキュリティ意識を高めることが不可欠である。
多様化する仮想通貨詐欺に要注意
本記事で紹介した仮想通貨詐欺は、これまでに報告されている事例のほんの一部に過ぎません。詐欺の手口は日々進化し、より巧妙化しているのが現状です。
近年、仮想通貨関連サービスの急速な増加に伴い、ユーザーが個人情報を入力したり、ウォレットを接続したり、SNSアカウントとサービスを連携したりする機会が増えています。これらの行為は、潜在的なリスクを伴う可能性があります。
自身が最新の注意を払っていたとしても、企業側の情報漏洩によって仮想通貨関連の重要情報がハッカーの手に渡る可能性も考慮する必要があります。そのため、常に警戒心を持ち、セキュリティ対策を怠らないことが極めて重要です。
仮想通貨投資で利益を得られたとしても、詐欺や誤送金、盗難などによってその資金を失ってしまっては元も子もありません。特に仮想通貨価格が上昇している時期こそ、詐欺師の活動が活発化する傾向にあるため、より一層の注意が必要です。
以下に、仮想通貨詐欺から身を守るための追加的な対策をまとめました:
- 二段階認証の利用
取引所やウォレットアプリなどで、可能な限り二段階認証を設定する - ハードウェアウォレットの使用
大量の仮想通貨を保管する場合は、オフラインのハードウェアウォレットを利用する - 定期的なパスワード変更
使用しているサービスのパスワードを定期的に変更し、各サービスで異なるパスワードを使用する - 不審な活動の監視
自身のアカウントやウォレットの活動を定期的にチェックし、不審な動きがあれば即座に対応する - 最新情報の収集
仮想通貨業界の最新のセキュリティ脅威や詐欺手法について、常に情報を収集する
仮想通貨投資において、利益を得ることも重要ですが、それと同様に、獲得した資産を守ることも極めて重要です。詐欺対策とセキュリティ対策を常に最新の状態に保つことで、安全な仮想通貨の利用と投資が可能となります。