仮想通貨は今後10年で主流の決済手段に|ロンドン公立研究大学が調査
ビットコイン(BTC)などの仮想通貨は今後10年間で主流の決済手段になる可能性を秘めているという調査結果が、イギリスの公立研究大学であるインペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)の研究者らによって報告されています。
インペリアル・カレッジ・ロンドン
インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)は、特に理系の分野で世界トップレベルの大学として位置付けられており、科目別に見ると材料工学が世界3位、医学が4位、情報工学が7位という高い評価を受けています。世界の最難関大学の一つ言われるインペリアル・カレッジは、2014年と2015年度の大学ランキングで米国のマサチューセッツ工科大学に次いで世界第2位に位置づけられています。
ノーベル賞受賞者14名を擁しているインペリアル・カレッジには、2015年9月以降のブロックチェーンイニシアチブに焦点を当てた仮想通貨のリサーチとエンジニアリングを行う研究センターがあります。今回の研究報告をまとめたWilliam Knottenbelt(ウィリアム・ノッテンベルト)教授はこの研究センターで設立当初からセンター長を務めてきました。
デジタル資産ソフトウェアプラットフォームである「Blockchain」は昨年の初めに、インペリアル・カレッジと提携して「Digital Asset Research Lab(デジタル資産研究ラボ)」を発表しました。このラボは、ブロックチェーン技術の変革の可能性を探ることを目的としています。
そんなインペリアル・カレッジの教授であるノッテンベルト氏とインペリアル・カレッジ・ビジネス・スクール(Imperial College Business School)のZeynup Gurguc(ゼイネープ・グルグゥク)博士は、『Cryptocurrencies:Overcoming Barriers to Trust and Adoption(仮想通貨:信頼と採用の障壁を克服する)』と題された研究報告で、仮想通貨は現時点でもすでに法定通貨と同じように"価値のあるストア"として働いていると主張しています。しかし彼らは、それと同時にいくつかの改善すべき問題点がとも述べています。
仮想通貨が改善すべき6つの課題
インペリアル・カレッジの研究者たちがまとめた報告書の中では、現在の仮想通貨はスケーラビリティと設計を改善する必要があることが記されています。
この報告書では、仮想通貨は今のところ決済や交換の手段として効果的に機能しているわけではないとされており、法定通貨のような一般的に広く利用される通貨を目指す場合には、ビットコイン(BTC)やその他の仮想通貨は、設計やスケーラビリティなどのような複数の改善すべき問題を抱えていると説明されています。また、現時点では高いトランザクション量を処理することができないブロックチェーン上に多数の仮想通貨が構築されているともされています。
設計の面に関しては、仮想通貨は専門知識を持たない人でも使用できるように"よりユーザーフレンドリーな設計"を採用する必要があるとも指摘されています。
幅広い分野で採用される通貨になるためには、仮想通貨の価動きは安定した流動性の高いものになる必要がありますが、現在世界中で進められている標準化された規制を定めるための取り組みによって、これらの問題が改善されることが期待されます。
彼らが示している仮想通貨が対処しなければならない6つの課題は次の通りです。
スケーラビリティ
現在多くのトランザクションを容易にするように設計されていないブロックチェーン上には、多くの仮想通貨が構築されています。個々のブロックチェーンのマイニング(採掘)コミュニティは、成功するためにスケーラビリティの問題の解決に優先順位を付ける必要があります。
ユーザビリティ
様々な発明と同様に、ユーザーフレンドリーな設計は大量採用の要です。仮想通貨は複雑で、専門家の理解が必要です。
規制
これは現在、規制を定めているそれぞれの国によって違いが生じています。規制への標準化されたグローバルなアプローチがなければ、ビットコインは主流の牽引力を得るのに苦労します。
ボラティリティ
すべての法定通貨は変動します。しかし、仮想通貨の現在の大きなボラティリティは、価値のあるストアとみなされる能力を妨げています。価格の動きが決まるにつれて、価値機能の記憶装置を実現することができます。
インセンティブ
新しい金融エコシステムでは、報酬制度が行動にどのように影響するかについて慎重に考える必要があります。これが正しい方法で構築されていないと、システムはすぐに他のユーザーに損害を与えるようにユーザーによって操作されます。
プライバシー
ブロックチェーンは透明性の高い単一のソースを提供しますが、異なるユーザーが利用できるさまざまなレベルのプライバシーが魅力的です。これがなければ、一部の人々は仮想通貨から離れます。
仮想通貨が「お金のあり方」を変える
ノッテンベルト教授らが公開した研究報告では『仮想通貨が"お金のあり方"を変える可能性を秘めている』ということも記されています。
インペリアル・カレッジの研究者たちは、貝殻などの有価物から硬貨や紙幣といったものにお金が進化するたびに、支払いにおける摩擦が減少していることを指摘しています。このような歴史と同様に、仮想通貨は世界経済における支払い摩擦を減らすのに役立つかもしれません。
ノッテンベルト教授は報告書の中で次のように述べています。
「仮想通貨の世界は、業界の複雑な専門用語に人々が混乱してしまうほど、急速に進化しています。これらの分散化された技術は、金融システムや金融資産について我々が知っているすべての性質を上回る可能性を秘めています。」
ーWilliam Knottenbelt教授
キャッシュレス化が進むロンドン
インペリアル・カレッジがあるロンドンでは仮想通貨の普及が進んで来ています。イギリスは仮想通貨に対して厳しい規制を定めていることで知られており、昨年はあまり目立ったニュースも報じられていませんでしたが、ここ最近では色々な話題が報じられるようになりました。
ロンドンでのキャッシュレス化促進に特に大きな影響を与えると考えられるのが、仮想通貨取引所Huobi(フォビ)のロンドン進出であると言えるでしょう。それまではブロックチェーンに友好的であったマルタ共和国などが取引所の拠点として選ばれていましたが、Huobiはその中で"あえて"仮想通貨への規制が厳しいロンドンへの進出を発表しました。
「我々は規制を恐れていない」
「規制を恐れず、規制を免れている」
発表当時、Huobiはロンドンを選択したことについて「関連する規制に準拠した上で主流になる」ことを目指していることを明確に伝えています。
Huobiのような大規模な仮想通貨取引所が進出したことによってロンドンでの仮想通貨の普及やキャッシュレス化への動きはさらに加速していくことになるでしょう。実際に先日はロンドン最大の総合格闘技イベント「BAMMA Fight Night:London」では、ビットコインキャッシュ(BCH)がスポンサーになっています。
ビットコインキャッシュがスポンサーに
BAMMAは、イギリス最大の総合格闘技(MMA)団体です。
この団体が開催している試合は、1997年に開局した「Channel 5」というイギリスの商業テレビ放送局で全英に中継されており、2010年9月25日に開催された「BAMMA 4」では、テレビ視聴者数が86万5,000人を記録しています。
このイギリスで大きな人気を誇っているBAMMAは、2018年6月28日にビットコインキャッシュ(BCH)とCoingeek.comが「BAMMA Fight Night:London」のヘッドラインスポンサーとなることに合意しています。
BAMMAに関する記事はこちら
ロンドンにおける仮想通貨決済の普及はこれから進んでいくことが考えられますが、ノッテンベルト教授が述べているように、10年後には一般的な決済手段となっている可能性は十分あると言えるでしょう。
先日は日本でもBITPointが自社の決済サービスに新しくビットコインキャッシュ(BCH)を追加しています。仮想通貨決済を利用してみたいという方は、BITPointのサービスを使ってみてはいかがでしょうか。
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