2025年10月、日本初の円建てステーブルコイン「JPYC」が正式に発行され、わずか4ヶ月で累計発行額が130億円を突破しました。2026年3月にはソニー銀行との業務提携が発表され、銀行口座から直接JPYCを購入できる仕組みの構築が進んでいます。
SBIホールディングスとスターテイルが共同開発する信託型円建てステーブルコイン「JPYSC」の2026年第2四半期ローンチ、3メガバンク(三菱UFJ・みずほ・三井住友)による共同発行に向けた実証実験開始と、国内だけでも前例のない規模の動きが同時進行しています。
米国では、2025年7月に「GENIUS法」が成立し、JPモルガン・バンク・オブ・アメリカといった大手金融機関のステーブルコイン市場への参入が現実味を帯び始めました。世界全体の市場規模は2026年時点で約3,000億ドル(約46兆円)に達しており、2021年比で10倍超の成長を遂げています。
主要国の法整備が出揃い、金融機関・テクノロジー企業の本格参入が加速するなか、ステーブルコインは仮想通貨の枠を超えた「新たな金融インフラ」として存在感を高めています。
この記事では、ステーブルコインの基本的な仕組みと種類から、代表的な銘柄の比較、日本・米国・欧州の規制動向、実際の購入方法と使い道、リスクと注意点、そして2026年以降の展望まで網羅的に解説しています。
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ステーブルコインとは?基本の仕組みをわかりやすく解説
ステーブルコインの定義:価格を安定させた仮想通貨
ステーブルコインとは、米ドルや日本円などの法定通貨、あるいは金などの実物資産と価値を連動させたデジタル通貨の総称です。英語の「Stable(安定した)」と「Coin(コイン)」を組み合わせた名称が示す通り、価格の安定性が最大の特徴です。
ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)といった一般的な暗号資産は、需要と供給のバランスによって価格が大きく変動します。一方でステーブルコインは、裏付け資産を保有したり、アルゴリズムによって供給量を調整したりすることで、特定の資産との等価性を維持する設計になっています。
なぜ「安定」が実現できるのか:裏付け資産とペッグの仕組み
ステーブルコインの価格安定性は、主に「ペッグ(Peg)」と呼ばれる仕組みによって実現されています。ペッグとは、特定の資産の価値に固定(連動)させることを指します。
法定通貨担保型の場合、発行体が1コインにつき1ドル(または1円)相当の現金・国債などの準備資産を保有することで、常に1コイン=1ドルの等価性を維持します。ユーザーがステーブルコインを換金する際には、発行体が準備資産から相当額を支払う形で償還が行われます。この仕組みは、銀行預金や商品券に近い性質を持っています。
暗号資産担保型の場合は、イーサリアムなどの暗号資産を過剰担保(発行額の150〜200%相当)として保有し、価格変動が生じても担保価値が発行額を下回らないよう設計されています。アルゴリズム型は担保資産を持たず、需給に応じてコインの供給量をプログラムで自動調整することで価格の安定を図りますが、後述するTerraUSDの崩壊事例が示すように、構造的な脆弱性を持つことが知られています。
ビットコインや一般的な仮想通貨との違い
一般的な暗号資産との最大の違いは、価格変動リスクの有無にあります。ビットコインは1日で10%前後の値動きが珍しくなく、2025年10月には過去最高値の12万6,000ドル台をつけた後、わずか4ヶ月で半値近くまで下落する局面もありました。これに対してステーブルコインは、価格変動リスクを回避しながらブロックチェーンネットワーク上で決済・送金・DeFiへの参加が可能という点が評価されています。
一方で、一般的な暗号資産のように価格上昇による資産増加(キャピタルゲイン)は原則として見込めません。ステーブルコインの主な用途は価値の保全、決済手段、そしてDeFiプロトコルでの利回り獲得となります。
電子マネー・CBDC・銀行預金との違い
ステーブルコインと混同されやすいものに、Suicaや楽天Edyといった電子マネー、各国が研究・開発を進めるCBDC(中央銀行デジタル通貨)、そして銀行預金があります。電子マネーは特定の事業者のシステム内でのみ利用できる閉鎖型の決済手段であり、ブロックチェーン上で自由に移転できるオープン性がステーブルコインとの大きな違いです。
CBDCは中央銀行が発行するデジタル通貨であり、国家の信用が直接裏付けとなります。これに対してステーブルコインの多くは民間企業が発行するものであり、発行体の信用力・準備資産の透明性が重要な評価基準となります。銀行預金との違いは、ブロックチェーン(blockchain)上でP2P(個人間)送金が可能である点、24時間365日稼働している点、そして国際送金を低コストで行える点にあります。
ステーブルコインの4つの種類と仕組み
①法定通貨担保型:もっとも普及している基本タイプ(USDT・USDC・JPYC)
法定通貨担保型は、発行体が米ドルや円などの法定通貨を準備資産として保有することで、コインの価値を安定させる最も基本的な仕組みです。現在ステーブルコイン市場の大部分を占めており、代表銘柄であるUSDTとUSDCの2銘柄だけで市場全体の約83%を占めています(2026年2月時点、CoinGecko)。
準備資産の内訳は発行体によって異なります。テザー社が発行するUSDTは米国債・銀行預金・コマーシャルペーパーなどを組み合わせて保有しており、Circle社が発行するUSDCは主に米国債と現金相当資産で裏付けられています。日本のJPYCは円預金と日本国債を裏付け資産としています。
ただし、準備資産がどれだけ適切に保全されているかは発行体によって大きく異なります。発行体の経営悪化や不正が発覚した場合にコインの価値が損なわれるリスクがあるため、準備資産の構成と透明性(定期的な第三者監査の有無)が銘柄選びの重要な判断基準となります。
②暗号資産担保型:分散型で運営されるタイプ(DAI)
暗号資産担保型は、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産を担保として発行されるステーブルコインです。中央集権的な発行体を持たず、スマートコントラクトによって自動的に発行・管理される分散型の仕組みである点が最大の特徴です。
代表的な銘柄はMakerDAOプロトコルが発行するDAI(ダイ)です。イーサリアムなどを担保として預け入れると、担保価値の一定割合のDAIを借り入れることができます。担保価値が一定の閾値を下回ると自動的に清算が行われる仕組みにより、DAIの価値を1ドル付近で維持しています。中央管理者が不要な反面、担保にしている暗号資産の価格が急落した場合には清算リスクが生じます。
③コモディティ担保型:金などの実物資産に連動(ジパングコイン/ZPG)
コモディティ担保型は、金・銀・石油などの実物資産(コモディティ)を準備資産として発行されるステーブルコインです。法定通貨担保型とは異なり、インフレに強い資産を裏付けとする点が特徴で、金価格が上昇すれば連動してコインの価値も上がります。
日本では三井物産グループの三井物産デジタルコモディティーズが発行するジパングコイン(ZPG)が代表的な銘柄です。
1ZPGが金1グラムの市場価格と連動するよう設計されており、SBI VCトレード・bitFlyer・DMM Bitcoinなどの国内主要取引所で購入できます。金はインフレ局面で価値が上昇しやすい資産であることから、円安・物価上昇局面での資産保全手段として注目が集まっています。
ただし金価格そのものが変動する資産である以上、「常に1ドル=1コイン」を維持する法定通貨担保型とは性質が異なる点は理解しておく必要があります。
④アルゴリズム型(無担保型):仕組みとTerraUSD崩壊の教訓
アルゴリズム型は、担保資産を持たず、プログラムによる供給量の自動調整で価格を安定させようとするステーブルコインです。コインの需要が増えて価格が上昇すると供給量を増やし、価格が下落すると供給量を減らすことで、目標価格(通常1ドル)付近に誘導します。担保資産が不要なため資本効率が高い一方、市場の信頼が失われると自己崩壊するリスクを抱えています。
2022年5月、アルゴリズム型の代表格だったTerraUSD(UST)が崩壊し、関連トークンLUNAを含む総額400億ドル以上が消失しました。
USTはガバナンストークンであるLUNAとのアルゴリズム交換によって価格を維持する仕組みでしたが、大口のUST売却をきっかけにLUNA・UST双方への信頼が失われ、負のスパイラルによって両方の価格が事実上ゼロに近い水準まで暴落しました。この事例を踏まえ、日本の改正資金決済法はアルゴリズム型・投資型ステーブルコインの国内発行を認めていません。
代表的なステーブルコイン銘柄を徹底比較
テザー(USDT):時価総額世界最大・約1,842億ドル
テザー(USDT)は、Tether Limited社が発行する米ドル連動型ステーブルコインで、2026年2月時点の時価総額は約1,842億ドル(約27兆円)と、ステーブルコイン市場で最大規模を誇ります。イーサリアム・トロン・ソラナなど複数のブロックチェーン上で流通しており、世界中の仮想通貨取引所での売買ペアとして広く使われています。
過去には準備資産の透明性について議論があり、監査の不十分さを指摘されたこともありました。現在はBDO Italiaによる定期的な証明書を公開し、準備資産の内訳として米国債・現金・コマーシャルペーパー等の詳細を開示しています。日本の国内取引所では現時点でUSDTの直接取扱いはなく、海外取引所や分散型取引所(DEX)を通じて入手する形となっています。
USDコイン(USDC):監査透明性が高い米ドル連動型
USDコイン(USDC)は、Circle社とCoinbaseが共同で設立したCentre Consortiumが発行する米ドル連動型ステーブルコインです。2026年2月時点の時価総額は約733億ドル(約11兆円)で、USDTに次いで世界第2位の規模を持ちます。Grant Thorntonによる月次の準備資産監査を継続的に実施しており、透明性の高さがUSDTとの差別化ポイントとなっています。
日本では2025年3月にSBI VCトレードがUSDCの取扱いを開始し、国内の仮想通貨取引所で購入できる唯一の主要ドル建てステーブルコインとなっています。米国でGENIUS法が成立したことで、規制環境が整備されたCircleのUSDCは機関投資家からの信頼をさらに高める可能性があります。
DAI:分散型・暗号資産担保の老舗ステーブルコイン
DAIはMakerDAOプロトコルが運営する暗号資産担保型ステーブルコインです。2026年1月時点の時価総額は約53億ドル(約8,200億円)で、DeFi(分散型金融)の分野で広く活用されています。AaveやCompoundといったレンディングプロトコルでの利用が活発で、中央管理者を持たない分散型のガバナンス体制を維持しています。
国内ではコインチェック・GMOコインなどで購入が可能です。担保にしている暗号資産の価格が急落した際の清算リスクや、スマートコントラクトの脆弱性リスクについて理解した上で利用することが求められます。2023年以降はMakerDAOが米国短期国債への投資を拡大しており、担保資産の多様化による安定性向上が図られています。
JPYC:日本初の円建て電子決済手段(2025年10月発行)
JPYCは、JPYC株式会社(東京都千代田区)が発行する日本円連動型ステーブルコインです。2025年10月27日に金融庁への資金移動業者登録を経て正式発行が開始され、改正資金決済法に基づく「1号電子決済手段」として国内で初めて発行された円建てステーブルコインとなりました。1JPYC=1円で設計されており、裏付け資産は円預金と日本国債で保全されています。
2026年2月時点の累計発行額は130億円を突破し、月間成長率は約69%を記録しました。Avalanche・Ethereum・Polygonの3チェーンで発行されており、JPYC EX(専用プラットフォーム)を通じて発行・償還が可能です。
2026年3月にはソニー銀行との業務提携が発表され、ソニー銀行の口座預金から振り込み不要で直接JPYCを購入できる仕組みの構築が進んでいます。音楽・ゲームなどのエンターテインメントサービスとの連携も視野に入れています。
JPYSC:SBIとスターテイルが開発する信託型円建て(2026年Q2予定)
JPYSCは、SBIホールディングスとStartale Group(スターテイル)が共同開発する信託型の日本円ステーブルコインです。2026年2月27日に名称が発表され、新生信託銀行が発行体を担う形で2026年第2四半期(4〜6月)のローンチを目標としています。
JPYCが「1号電子決済手段(資金移動業者発行)」であるのに対し、JPYSCは「3号電子決済手段(信託会社発行)」に分類されます。3号電子決済手段は国内送金・滞留において1号に設けられている100万円の制限が適用されないため、企業間決済・機関投資家の大規模取引・クロスボーダー決済での活用が見込まれています。SBIグループはUSDCのレンディングサービス展開も視野に入れており、ステーブルコインを軸とした金融サービスの多角化を進めています。
RLUSD:リップルが発行するドル連動型ステーブルコイン
RLUSDは、XRP(エックスアールピー)を発行するリップル社が開発した米ドル連動型ステーブルコインです。XRP Ledgerおよびイーサリアムブロックチェーン上で流通しており、米ドルや米国短期国債などの準備資産によって価値が裏付けられています。リップル社の豊富な金融機関ネットワークを活かした国際決済・送金での活用が想定されています。XRPを活用した日本の金融インフラとの連携については、XRPが日本の金融インフラにで詳しく解説しています。
RLUSDはリップルの既存の送金プロトコルと組み合わせることで、低コスト・高速の国際送金を支えるインフラとして位置づけられています。XRP Ledgerの高速処理能力(3〜5秒決済)と組み合わせることで、従来のSWIFT送金に比べて大幅なコスト削減と処理速度の向上が期待されています。
ジパングコイン(ZPG):三井物産系の金価格連動型
ジパングコイン(ZPG)は、三井物産グループの三井物産デジタルコモディティーズが2022年2月に発行した金価格連動型のステーブルコインです。1ZPGが金1グラムの市場価格と連動するよう設計されており、将来的には金現物との交換機能も検討されています。2026年1月時点でSBI VCトレード・bitFlyer・DMM Bitcoinなど国内主要取引所で購入できます。金価格は2020年以降上昇傾向にあり、インフレ局面での資産保全手段としての需要が高まっています。
ドル建てステーブルコインとは異なり、円高・ドル安局面でも実物資産としての金価値を維持できる点が特徴です。ただし法定通貨担保型と比べると価格変動が生じる点も踏まえた上で利用する必要があります。
| 銘柄 | 発行体 | 種類 | 連動資産 | 日本での入手方法 |
|---|---|---|---|---|
| USDT(テザー) | Tether Limited | 法定通貨担保型 | 米ドル | 海外取引所・DEX |
| USDC | Circle社 | 法定通貨担保型 | 米ドル | SBI VCトレード |
| DAI | MakerDAO | 暗号資産担保型 | 米ドル(分散型) | コインチェック・GMOコイン |
| JPYC | JPYC株式会社 | 法定通貨担保型(電子決済手段) | 日本円 | JPYC EX(専用プラットフォーム) |
| JPYSC | 新生信託銀行(SBI×スターテイル) | 信託型(電子決済手段) | 日本円 | 2026年Q2ローンチ予定 |
| RLUSD | リップル社 | 法定通貨担保型 | 米ドル | 海外取引所・DEX |
| ZPG(ジパングコイン) | 三井物産デジタルコモディティーズ | コモディティ担保型 | 金(1グラム) | SBI VCトレード・bitFlyer他 |
日本のステーブルコイン規制:改正資金決済法の全容
2023年6月施行:「電子決済手段」として暗号資産と切り分け
日本では2022年6月に資金決済法が改正され、2023年6月1日に施行されました。この改正によって、法定通貨の価値に連動したステーブルコイン(デジタルマネー類似型)が「電子決済手段」として法的に定義され、従来の暗号資産とは異なる規制体系が整備されました。
改正前は、ステーブルコインも暗号資産と同じ規制下に置かれており、取扱事業者の参入が事実上制限されていました。改正後は電子決済手段として独自の法的位置づけが与えられ、金融庁の電子決済手段等取引業者登録制度のもとで登録した事業者が発行・取扱いを行える仕組みが確立されました。なお、アルゴリズム型・投資型のステーブルコインは「暗号資産型」として従来通り暗号資産規制の対象となります。
3種類の電子決済手段:1号・2号・3号の違い
改正資金決済法では、電子決済手段(デジタルマネー類似型のステーブルコイン)を大きく3種類に分類しています。各号の違いを理解することは、銘柄選びや事業活用において重要です。
1号電子決済手段は資金移動業者が発行するタイプで、JPYCが該当します。国内送金・滞留において原則100万円の上限制限があります。2号電子決済手段は銀行が発行するデジタルマネーが該当し、銀行法に基づく規制が適用されます。3号電子決済手段は信託会社が発行するタイプで、JPYSCが目指す形態です。信託財産として保全されるため安全性が高く、100万円の上限制限が設けられていないことから機関投資家向け大口取引や企業間決済に適しています。
発行できる事業者の要件:銀行・信託会社・資金移動業者
改正資金決済法のもとで電子決済手段を発行できるのは、銀行・信託会社・資金移動業者に限定されています。一般の企業がステーブルコインを自由に発行することはできず、発行体となるためには金融庁への登録・承認が必要です。
発行体には、裏付け資産(準備資産)の適切な保全と、利用者からの求めに応じた即時償還義務が課されています。また、マネーロンダリング対策として、犯罪収益移転防止法に基づくトラベルルールの対象にもなっています。電子決済手段等取引業者(仲介事業者)についても登録制が採用されており、取引所や決済プラットフォームが取扱いを行うには別途登録が必要です。
送金上限100万円(1号)と上限なし(3号)の違い
日本の電子決済手段規制において実務上重要なのが、1号(資金移動業者型)と3号(信託型)における送金上限の違いです。1号電子決済手段であるJPYCは、資金移動業法上の規制により国内送金・滞留に原則100万円の上限が設けられています。個人間の小口決済や個人のWeb3サービス利用を主な想定ユースケースとしているためです。
一方、3号電子決済手段であるJPYSCや銀行発行の2号電子決済手段には送金上限の制限が設けられないため、企業間の大口決済や機関投資家の資産管理に対応できます。日本の円建てステーブルコイン市場は、個人向けのJPYCと法人・機関投資家向けのJPYSCが棲み分ける形で成長していく可能性があります。
アルゴリズム型は発行禁止:日本の厳格な規制設計
日本の改正資金決済法は、TerraUSD崩壊の教訓を踏まえ、アルゴリズム型ステーブルコイン(担保資産を持たず、プログラムで価格安定を図るもの)および投資型ステーブルコインの国内発行を認めていません。法定通貨の価値に連動し、かつ発行価格と同額での償還を約するもののみが「電子決済手段」として制度化されており、利用者保護を優先した設計となっています。
この規制設計は欧米と比較しても厳しい水準にあります。米国のGENIUS法では一定の要件を満たせばアルゴリズム要素を含む設計も検討対象となり得ますが、日本では安全性と予見可能性を重視した結果、シンプルな法定通貨担保型・信託型のみに絞り込まれています。
2026年の日本:3メガバンク共同発行PoC・野村大和×3メガの株式決済実証実験
2025年11月、三菱UFJ銀行・みずほ銀行・三井住友銀行の3メガバンクが、法定通貨連動ステーブルコインの共同発行に向けた実証実験(PoC)の開始を発表しました。単一ブランドでの発行を目指し、デジタル資産インフラのProgmat(プログマ)を活用した実証が進められています。
さらに2026年2月13日には、野村ホールディングス・大和証券グループ本社と3メガバンクが、株式・債券・投資信託などの決済をブロックチェーン上で行う実証実験の開始を発表しました。
片山さつき金融相が「証券取引のプロセス改善に向けた画期的な取り組み」と評価し、金融庁が法令解釈の面から実証実験を支援する方針を表明しています。日本の金融インフラがブロックチェーン技術と融合していく上で、大きな転換点を迎えています。
仮想通貨の税制改正と確定申告
世界のステーブルコイン規制動向【2026年最新】
米国GENIUS法(2025年7月成立)の概要と影響
2025年7月18日、トランプ大統領の署名により「GENIUS Act(ステーブルコイン規制法)」が正式に成立しました。米国で初めてステーブルコインを包括的に規制する連邦法であり、銀行によるステーブルコイン発行への明確な道筋が示されました。
GENIUS法の主な内容は、ステーブルコイン発行体への準備資産の100%裏付け義務、FRBおよびOCC(通貨監督庁)による監督体制の確立、外国発行体の米国市場参入規制などです。
同法の成立を受け、JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは仮想通貨への従来の批判的スタンスを転換し「ステーブルコインとブロックチェーンへの支持」を表明しました。バンク・オブ・アメリカも独自ステーブルコインの開発作業を進めていると発表しています。
欧州MiCA規制(2024年施行)とQivalisのユーロ建て構想
欧州連合(EU)では、2024年に暗号資産市場規制(MiCA:Markets in Crypto-Assets)が施行されました。MiCAはEU全域で統一されたルールのもとでステーブルコインを規制する枠組みで、発行体への準備資産要件・流動性管理・透明性確保などが義務付けられています。Circle社が発行するUSDCは早い段階でMiCA規制への準拠対応を進め、欧州市場でのプレゼンスを強化しています。
2026年には、欧州主要銀行12行で構成される「Qivalis」が、ユーロ建てステーブルコインの発行に向けた具体的な準備を進めていることが報じられました。サービス開始は2026年後半を想定しており、準備資産の40%超を銀行預金で確保し、残りをユーロ圏の短期国債に分散投資する設計となっています。24時間いつでも償還できる体制を整え、MiCA規制に準拠した形での展開が予定されています。
JPモルガン・バンカメ・ウォルマートの参入動向
GENIUS法成立を受け、米国の大手金融機関・企業によるステーブルコイン市場への参入が加速しています。JPモルガンはすでに自社ブロックチェーン「Kinexys(旧Onyx)」上で機関投資家向けの決済トークンを運用しており、GENIUS法成立後は一般向けステーブルコインへの展開も検討されています。バンク・オブ・アメリカは2025年時点で独自ステーブルコインの開発を進めていることを公表しています。
小売業界でも動きが活発で、ウォルマート・アマゾンが独自コインの発行を検討中と報じられています。東南アジアでは配車大手Grabが2025年にステーブルコイン決済を導入するなど、日常の消費行動との接点が広がりつつあります。
Metaのステーブルコイン統合計画(2026年下半期)
米国メタ(Meta)が、2026年下半期をめどにステーブルコイン決済の統合を検討していることが複数の関係者の証言として報じられています。自社発行ではなく外部企業への委託を軸とした方針で、決済大手ストライプが有力候補として浮上しています。
メタはかつて「リブラ(後にディエム)」と呼ばれる独自ステーブルコイン構想を推進しましたが、規制当局の強い反発を受けて断念した経緯があります。
30億人超の利用者基盤を持つメタが参入すれば、WhatsApp・Instagram・Messengerを通じた国際送金やクリエイター報酬の効率化が実現する可能性があります。ただし2026年3月時点では公式発表がなく、実現するかどうかは不確定です。
人民元連動ステーブルコインと脱ドル化の地政学リスク
ステーブルコイン市場は現在、米ドル連動型が約83%を占める「ドル一強」の構造にありますが、この状況が少しずつ変化しています。香港・中東諸国・東南アジアを通じて展開される人民元連動ステーブルコイン(オフショア人民元CNHペッグ型)や、金・石油などのコモディティに裏付けられたステーブルコインの増加が進んでいます。
非ドル建てステーブルコインが貿易・金融取引の「中立的な決済ルート」として台頭する可能性があり、特にドルへのアクセスコストが高い国や政治的リスクを抱える地域での普及が進んでいます。現時点ではドルの優位性は揺らいでいないものの、多通貨建てステーブルコインの広がりは中長期的に通貨覇権に影響を与える要素として注目されています。
ステーブルコインの主なメリット
価格が安定しているため送金・決済に使いやすい
ステーブルコインの最大のメリットは、価格安定性にあります。ビットコインのように1日で10〜20%の価格変動が生じるリスクを回避しながら、ブロックチェーン技術がもたらす利便性(即時送金・プログラマブル決済・自己管理)を活用できます。企業が仕入れ代金をステーブルコインで支払う場合、送金中に価値が大きく変わるリスクが低い点が実務面での活用を後押ししています。
日本では改正資金決済法の施行によって電子決済手段としての法的地位が確立し、国内事業者がステーブルコイン決済を取り入れやすい環境が整いつつあります。JPYCを活用した実店舗決済・給与支払い・クリエイター報酬の支払いなど、多様なユースケースの実証が進んでいます。
24時間365日・低コストで国際送金できる
従来の国際銀行送金(SWIFT)は、平均2〜5営業日の所要時間と1回あたり数千円〜数万円の手数料が必要です。ステーブルコインを活用した送金では、ブロックチェーン上での処理が数秒〜数分で完了し、手数料もドル換算で数セント〜数ドル程度となるケースが多くあります。
特に新興国では、ドル建て銀行口座の開設が困難な層に対してステーブルコインが実質的な「デジタル銀行口座」として機能するケースが増えています。世界中で多数の口座を管理する必要のある企業にとっては、送金処理に時間を要しないことが業務上の優位につながるとする見方も広がっています。
DeFiの基軸通貨として運用収益を得られる
ステーブルコインはDeFiプロトコルの基軸通貨として広く活用されています。AaveやCompoundといったレンディングプロトコルにUSDCやDAIを預け入れることで、年率数%〜数十%(市場環境によって変動)の利息収入を得ることが可能です。また、UniswapなどのDEX(分散型取引所)に流動性を提供することで、取引手数料の一部を報酬として受け取るスキームも存在します。
ただし、DeFiプロトコルを利用する際はスマートコントラクトのリスクや清算リスクが伴います。DeFiの活用についてはDeFi(分散型金融)の解説記事およびレンディングの完全ガイドで詳しく解説しています。
仮想通貨取引の「待機資産」として価格変動リスクを回避できる
仮想通貨トレードにおいて、ポジションを一時的に解消したい場合や相場の方向性が不確かな局面で、法定通貨に換金せずにステーブルコインへ退避させる手法が広く活用されています。USDCやUSDTに換えておくことで、取引所の出金手続きなしに市場に留まりながら価格下落リスクを回避し、次の投資機会を待つことができます。
特に海外取引所を主に利用しているトレーダーにとっては、法定通貨への出金・再入金の手数料・時間コストを節約できる実用的な手段として定着しています。なお、ステーブルコインへの交換やDeFiでの運用には税務上の論点も生じるため、後述の税金セクションで整理した内容を参照してください。
ステーブルコインのリスクと注意点
デペッグリスク:価格が連動から外れるとどうなるか
デペッグ(De-peg)とは、ステーブルコインが目標価格(例:1ドル)から乖離する現象を指します。市場の需給急変、担保不足の懸念、スマートコントラクトの問題、発行体への信頼低下など、さまざまな要因によって発生します。短期的なデペッグであれば市場の裁定取引によって価格が戻ることもありますが、信頼が一度失われると回復が困難になるケースもあります。
過去の代表的な事例として、2023年3月のUSDCデペッグがあります。準備資産の一部を預けていたシリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻懸念から、USDCが一時0.87ドル付近まで下落したものです。このケースでは結果的にCircle社が準備資産の保全を発表し価格は回復しましたが、準備資産の預け先に関するリスクが広く認識される契機となりました。
発行体リスク:準備資産の透明性と監査の重要性
法定通貨担保型ステーブルコインは、発行体が適切に準備資産を保有・管理していることが前提です。発行体が倒産した場合、ユーザーが持つコインの価値が損なわれるリスクがあります。このリスクを評価するために重要なのが、定期的な第三者監査の有無と準備資産の内訳開示です。
USDCはGrant Thorntonによる月次の証明書を公開しており、透明性の高い銘柄として評価されています。日本のJPYCは円預金・国債での保全と金融庁への登録を経た発行であり、国内法規制のもとでの保護が適用されます。銘柄を選ぶ際は時価総額だけでなく、発行体の信頼性・監査体制・規制対応状況を総合的に確認することが重要です。
TerraUSD(UST)崩壊の事例から学ぶアルゴリズム型の危険性
2022年5月、アルゴリズム型ステーブルコインの代表格だったTerraUSD(UST)が崩壊し、関連トークンLUNAを含む推定400億ドル超の価値が消滅しました。USTはLUNAとの交換アルゴリズムによって1ドルのペッグを維持する仕組みでしたが、大口保有者によるUST大量売却をきっかけにペッグが崩れ始め、USTの価格下落→LUNAの売却→さらなるUSTの信頼喪失という負のスパイラルに陥り、両トークンの価格が事実上ゼロに近い水準まで暴落しました。
崩壊前、LUNAとUSTは時価総額ランキングで双方トップ10に入るほどの規模を誇っており、高い時価総額や知名度があっても、構造的な欠陥を持つステーブルコインは突然崩壊する可能性があることを示した事例です。日本の規制当局がアルゴリズム型の国内発行を認めていない背景にも、この崩壊事例が強く影響しています。
規制変更リスク:日本・米国・欧州の法改正による影響
ステーブルコインは規制環境の変化に大きく左右される資産です。2023年の日本の改正資金決済法施行、2024年の欧州MiCA規制施行、2025年の米国GENIUS法成立と、主要国・地域での法整備が急速に進んでいます。法整備が進むことは市場の安定化につながる反面、特定の銘柄が規制要件を満たせなくなった場合、国内での取扱い停止や使用制限が生じるリスクもあります。
また、日本では2026年に仮想通貨関連規制が金融商品取引法(金商法)体系へ移行する動きも進んでいます。規制変更が銘柄の取扱い状況や税務上の区分に影響する可能性について、定期的な情報収集が求められます。仮想通貨の税制改正の最新情報は仮想通貨の税制改正2026で詳しく解説しています。
スマートコントラクトの脆弱性リスク(DeFi利用時)
DAIなどの暗号資産担保型ステーブルコインや、DeFiプロトコルでステーブルコインを運用する場合には、スマートコントラクトの脆弱性リスクに注意が必要です。スマートコントラクトはコードで自動実行される仕組みであり、バグや設計上の欠陥があった場合にハッキングや意図しない動作が発生し、ユーザーの資産が失われる可能性があります。
大規模なDeFiプロトコルは第三者機関によるセキュリティ監査を実施していることが多いですが、リスクが完全にゼロになるわけではありません。DeFiでの運用に際しては、監査の実施状況、プロトコルの運用実績の長さ、リスク分散の有無などを確認した上で参加することが重要です。
日本でステーブルコインを買う方法・使い道
日本で購入できるステーブルコイン一覧(2026年3月時点)
2026年3月時点で、日本の国内仮想通貨取引所・プラットフォームで入手できる主なステーブルコインは以下の通りです。なお、取扱銘柄・サービス内容は変更される場合があるため、各社公式サイトで最新情報をご確認ください。
| 銘柄 | 入手方法・主な取扱先 | 備考 |
|---|---|---|
| USDC | SBI VCトレード(取引所取引) | 2025年3月より国内初の主要ドル建てステーブルコイン取扱 |
| DAI | コインチェック・GMOコイン・CoinBest | DeFiで広く使われる分散型ステーブルコイン |
| JPYC | JPYC EX(専用プラットフォーム) | 一般取引所では購入不可。JPYC EXで発行・償還 |
| ZPG(ジパングコイン) | SBI VCトレード・bitFlyer・DMM Bitcoin・デジタルアセットマーケッツ | 金価格連動型。コモディティ担保 |
| USDT | 国内取引所では現時点で取扱なし | 海外取引所・DEXで入手可能 |
SBI VCトレードでUSDCを購入する手順
SBI VCトレード公式サイトから口座開設の申し込みができます。2025年3月よりUSDCの取扱いを開始した国内唯一の主要取引所です。口座開設にはメールアドレス・本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証)・銀行口座の情報が必要です。
口座開設が完了したら、SBI VCトレードの取引画面からUSDCを検索し、日本円での購入が可能です。購入したUSDCは取引所のウォレット内で保管するほか、MetaMaskなどの外部ウォレットに送金してDeFiプロトコルへの参加や国際送金にも活用できます。
JPYC EXでJPYCを発行・取得する手順
JPYCは一般の仮想通貨取引所では購入できず、専用プラットフォームのJPYC EXから発行・償還を行います。JPYC EXはスマートフォン・PCのブラウザからアクセスでき、メールアドレスでのアカウント作成後、本人確認(KYC)を完了することで利用できます。
発行の手順は、JPYC EXのマイページから「発行」を選択し、希望する発行額を入力後、銀行振込で日本円を送金するとJPYCがデジタルウォレットに発行される仕組みです。2026年3月にソニー銀行との業務提携が発表されており、将来的には銀行口座からのリアルタイム口座振替による即時取得が可能になる見込みです。償還(JPYCを日本円に戻す)も同プラットフォームから申請できます。
使い道①:海外送金・クロスボーダー決済(従来の銀行送金との比較)
ステーブルコインを活用した海外送金は、従来の銀行送金に比べてコストと時間の両面で優れています。SWIFT経由の国際送金では通常2〜5営業日・数千円〜数万円の手数料が必要ですが、ステーブルコインでの送金は数秒〜数分・数百円以下で完了するケースが多くあります。
海外在住者への仕送り、フリーランス・クリエイターへの海外からの報酬受取、企業間の貿易決済といった場面での活用が進んでいます。LINEのUnifiウォレットのように既存アプリと連携した導線の整備も進んでおり、受取側の技術的ハードルも低下してきています。
使い道②:DeFiでの運用(レンディング・流動性提供)
ステーブルコインはDeFiエコシステムの基軸通貨として広く活用されています。USDCやDAIをAave・Compoundといったレンディングプロトコルに預け入れると、年率数%の利息収入が得られます。また、Uniswapなどの分散型取引所に流動性を提供することで、取引が発生するたびに手数料収入の一部を受け取ることができます。
日本ではステーブルコインを用いたDeFi運用から得られた収益は、原則として雑所得として課税対象となります。詳細は後述の税金セクションおよびレンディングの解説を参照してください。また、ステーキングの活用についてはステーキング解説ガイドをご覧ください。
使い道③:仮想通貨トレードの待機資産として
仮想通貨のトレードにおいて、相場の方向性が不明確な局面や利益確定後の一時退避先として、ステーブルコインへの移行は広く活用されています。法定通貨への出金・再入金の手続きを省略できるため、投資機会が生じた際に素早く再投資できる利便性が評価されています。
特に海外の取引所を利用している場合、USDTやUSDCに換えておくことで取引所の出金制限や処理時間の影響を最小限に抑えられます。ただし、ステーブルコインへの交換も税務上は「暗号資産の売却」として課税対象となる場合があることに注意が必要です。
使い道④:エンタメ・Web3サービスでの決済(ソニー銀行×JPYC事例)
2026年3月に発表されたソニー銀行とJPYCの業務提携は、「金融×エンタメ×Web3」の融合という新しい方向性を示しています。ソニー銀行の口座から直接JPYCを取得し、音楽ライブのチケット購入・ゲームコンテンツの決済・クリエイターへのチップ支払いなどに利用できる仕組みの構築が進んでいます。
電算システムの決済網との連携による全国規模の実店舗対応、nudgeカードでのJPYC建て決済、comilioでのクリエイター報酬支払いへの導入など、日常生活に密着したユースケースの拡大が進んでいます。将来的にはATMを通じた現金引き出しや給与受取への活用も検討されています。
ステーブルコインの税金・確定申告の扱い
電子決済手段(JPYC)と暗号資産(USDT・USDC・DAI)の法的区分の違い
ステーブルコインの税務上の取扱いは、その法的区分によって異なります。JPYC(電子決済手段)と、USDT・USDC・DAI等(暗号資産)では税務上の取扱いが異なる可能性があるため、それぞれの性質を理解しておく必要があります。
なお、ステーブルコインを含む仮想通貨の税制をめぐっては、2025年以降に金融商品取引法への移行・申告分離課税の適用などの大きな制度改正の議論が進んでいます。最新の税制動向については、仮想通貨の税制改正2026および仮想通貨の税金・確定申告の解説記事を必ずご確認ください。
USDT・USDC・DAI等:暗号資産として仮想通貨税務の対象
USDT・USDC・DAIなど、改正資金決済法上の「暗号資産」に分類されるステーブルコインは、通常の仮想通貨と同様の税務処理が適用されます。具体的には、ステーブルコインを売却(日本円や他の暗号資産への交換を含む)した際に生じた損益が課税対象となります。
1ドル相当で購入したUSDCを長期保有後に売却する際も、取得時と売却時の円評価額の差額が課税対象となります(ドル円レートの変動による差益が発生するケースに注意が必要です)。また、DeFiプロトコルでの運用(レンディング利息・流動性提供報酬等)から得た収益も、原則として雑所得として申告が必要です。
JPYCの税務上の扱い:電子決済手段としての整理
JPYCは改正資金決済法上の「1号電子決済手段」として発行されており、法的には暗号資産ではなく電子決済手段に分類されます。このため、税務上の取扱いは暗号資産とは異なるとする見解がありますが、2026年3月時点では国税庁による公式の詳細ガイダンスが十分に整備されていない状況です。
一般的な解釈では、JPYCを使って物品・サービスを購入した場合は通常の決済(課税対象外)として処理できる可能性があります。一方で、JPYCをETHやBTCなどの暗号資産に交換した場合の課税関係については、個別の状況に応じた判断が必要です。税務上の取扱いについては税理士等の専門家に相談することをお勧めします。
記録すべき取引履歴と注意点
ステーブルコインの利用記録は確定申告時の損益計算に必要です。記録すべき主な情報は、取引日時・取引種別(売買・交換・送金)・取引数量・取引時の時価(円換算額)・手数料です。JPYC EXやSBI VCトレードなどのプラットフォームでは取引履歴のCSVエクスポートが可能です。
DeFiでの運用を行っている場合は取引数が膨大になるケースがあるため、クリプタクトなどの税務計算ツールを活用して記録を管理することが実務的です。確定申告全般の手続きについては仮想通貨の税金・確定申告の解説をご参照ください。
ステーブルコインの将来性と2026年以降の展望
市場規模5年で10倍超・さらなる拡大が見込まれる理由
ステーブルコイン市場の総規模は、2021年初頭の約270億ドルから2026年には約3,000億ドル(約46兆円)まで拡大し、わずか5年間で10倍超の成長を遂げました。この急成長の背景には、DeFiの拡大・仮想通貨取引の活発化・国際送金需要の高まり、そして各国の法整備によって機関投資家・大手企業の参入障壁が下がったことが挙げられます。
GENIUS法成立後の米国では、JPモルガン・バンカメなどの大手金融機関が本格参入を進めており、機関投資家マネーの流入によるさらなる市場拡大が見込まれています。欧州でもMiCA規制のもとでQivalisのユーロ建てステーブルコインが2026年後半に登場する予定で、ドル以外の通貨建てステーブルコインの多様化が市場全体を押し上げる可能性があります。
日本:3メガバンク・ソニー・SBIが参入する円建て市場の競争
日本の円建てステーブルコイン市場は、2025年のJPYC正式発行を皮切りに急速に整備が進んでいます。2026年には3メガバンク共同発行のPoC、JPYSCのQ2ローンチ、ソニー銀行×JPYCのエンタメ連携と、複数の主要プレーヤーが相次いで参入します。
市場の競争が激化することで個人・企業ともに選択肢が増え、利便性の向上が期待されます。JPYCが先行者としてWeb3・DeFiエコシステムに根付く一方、メガバンク発行のステーブルコインは金融機関の信用力を背景に企業・機関投資家向け市場を担うという棲み分けが進む可能性があります。
AI×ステーブルコイン:AIエージェント決済インフラとしての可能性
2026年に急速に台頭している仮想通貨×AIの分野では、AIエージェントがステーブルコインを活用して自律的に決済・送金を行うユースケースが注目されています。AIエージェントが人間の指示なしにタスクを実行し、その報酬受取・サービス利用料支払いにプログラマブルなステーブルコインを活用する形です。
ステーブルコインはAIエージェント経済における「マシン間決済」の基軸通貨としての役割を担う可能性があります。従来の金融インフラでは難しかった24時間365日・マイクロペイメント(超少額決済)への対応が、ステーブルコインとAIの組み合わせで実現しやすくなっています。
CBDCとの共存か競争か:デジタル人民元・デジタルドルとの関係
日本銀行・米連邦準備制度・欧州中央銀行などの主要中央銀行がCBDC(中央銀行デジタル通貨)の研究・実証を進める中、民間のステーブルコインとCBDCの関係が注目されています。CBDCは中央銀行が直接発行するため信用リスクが最も低い反面、政府・中央銀行の管理下に置かれることによるプライバシー面の懸念や民間のイノベーション阻害リスクも指摘されています。
有識者の間では、CBDCが銀行間決済・政府支払いの基盤となり、民間ステーブルコインがDeFi・企業間決済・国際送金・Web3サービスの領域を担うという棲み分けが形成される可能性があります。デジタル人民元の普及が進む東南アジア・中東市場では、ドル建てステーブルコインとの競合が現実の問題として浮上しています。
ステーブルコインが変える金融インフラの未来
ステーブルコインの普及は、単なる「デジタルなお金」の登場にとどまらず、金融インフラそのものの変革につながる可能性があります。証券の決済(野村・大和×3メガバンクの実証実験)、RWAトークン化による証券・不動産の流動性向上、個人がDeFiを通じて直接金融市場に参加できる環境の整備など、ブロックチェーンと金融の融合が着実に進んでいます。
日本でも2026年以降、金商法改正によって銀行子会社による暗号資産ビジネスが解禁される見通しで、金融×ブロックチェーンの融合は一層加速すると見られています。ステーブルコインはその中核インフラとして、日本の金融の今後を形作る重要な存在となっています。
ステーブルコインに関するよくある質問(FAQ)
ステーブルコインはどこで買えますか?(2026年3月時点)
2026年3月時点で、日本国内でステーブルコインを入手できる主な方法は以下の通りです。USDCはSBI VCトレードで購入が可能です。DAIはコインチェック・GMOコイン・CoinBestなどで取り扱われています。
JPYCはJPYC EX(専用プラットフォーム)から発行・取得します。ジパングコイン(ZPG)はSBI VCトレード・bitFlyer・DMM Bitcoinなどで購入可能です。なお、USDTは現時点で国内取引所の直接取扱いはなく、海外取引所やDEXを通じて入手する形となっています。
USDTとUSDCはどちらを選べばよいですか?
USDTは時価総額約1,842億ドルと世界最大のステーブルコインであり、多くの取引所・DeFi(分散型金融)プロトコルで使用できる流動性の高さが特徴です。USDCはGrant Thorntonによる月次の監査を実施しており、透明性・規制対応の面で優れています。
日本国内では現在USDCのみ国内取引所(SBI VCトレード)で購入でき、国内での利用利便性はUSDCが高い状況です。DeFiでの利用実績・透明性・アクセスしやすさを総合的に考慮して選択することをお勧めします。
JPYCは普通の仮想通貨取引所で買えますか?
JPYCは一般の仮想通貨取引所では購入できません。JPYC株式会社が提供する専用プラットフォームJPYC EXから発行・償還を行う形になっています。アカウント作成・本人確認(KYC)を完了した後、銀行振込で日本円を送金するとJPYCが発行されます。
2026年3月に発表されたソニー銀行との業務提携により、将来的にはリアルタイムで口座から直接JPYCを取得できる仕組みの構築が進んでいます。
ステーブルコインで利益が出た場合、確定申告は必要ですか?
USDT・USDC・DAIなど暗号資産に分類されるステーブルコインを売却・交換した際に差益が発生した場合は、原則として確定申告が必要です。ドル円レートの変動による取得時との差益も課税対象となります。レンディングなどDeFiでの運用で得た利息・報酬収入も雑所得として課税対象となります。
JPYCについては電子決済手段としての区分が適用される可能性がありますが、2026年3月時点では国税庁の詳細ガイダンスが十分でないため、仮想通貨の税金・確定申告の解説記事および税理士等の専門家への相談をお勧めします。
アルゴリズム型ステーブルコインはなぜ危険なのですか?
アルゴリズム型ステーブルコインは担保資産を持たず、プログラムによる供給量調整で価格安定を図る仕組みです。市場の信頼が失われると価格の下落→信頼喪失→さらなる売り圧力という負のスパイラルに陥るリスクがあります。
2022年5月のTerraUSD(UST)崩壊では400億ドル超の価値が消失しました。この事例を踏まえ、日本の改正資金決済法はアルゴリズム型の国内発行を認めていません。
JPYCとJPYSCの違いは何ですか?
JPYCはJPYC株式会社が資金移動業者として発行する1号電子決済手段で、国内送金に原則100万円の上限が設けられており個人向けWeb3サービスでの利用に適しています。
JPYSCはSBIホールディングスとスターテイルが共同開発し、新生信託銀行が発行体となる3号電子決済手段(信託型)で、送金上限の制限がなく企業間決済・機関投資家向け大口取引に対応しています。2026年Q2のローンチを目標としています。
ステーブルコインとCBDC(中央銀行デジタル通貨)の違いは何ですか?
ステーブルコインは主に民間企業が発行するデジタル通貨で、準備資産の保有によって法定通貨に価値を連動させています。CBDCは中央銀行が直接発行するデジタル通貨であり、国家の信用が直接裏付けとなります。
ステーブルコインはDeFiやWeb3との親和性が高い一方で発行体リスクが存在します。現在の有力な見方は、CBDCと民間ステーブルコインが競合ではなく相互補完の関係として共存するというものです。
まとめ
ステーブルコインは、価格安定性とブロックチェーン技術の利便性を組み合わせた仮想通貨の一形態です。法定通貨担保型・暗号資産担保型・コモディティ担保型・アルゴリズム型という4つの種類があり、それぞれ異なるリスク・特性を持っています。
2026年時点では、USDT・USDCを中心とする市場規模が約3,000億ドルに達し、日本でもJPYC(2025年10月正式発行)・JPYSC(2026年Q2予定)・3メガバンク共同発行のPoCと、国内の円建て市場が急速に整備されています。米国のGENIUS法成立・欧州のMiCA規制施行・日本の改正資金決済法という3地域の法整備が出揃い、機関投資家・メガバンク・テクノロジー企業の本格参入が加速しています。
ステーブルコインの活用方法は、海外送金・DeFiでの運用・仮想通貨取引の待機資産・エンタメ・Web3決済など多岐にわたります。一方で、デペッグリスク・発行体リスク・規制変更リスク・スマートコントラクトリスクといった固有のリスクも存在するため、仕組みと注意点を正しく把握した上での利用が求められます。
日本での購入はSBI VCトレード(USDC)・JPYC EX(JPYC)・各国内取引所(DAI・ZPG)から可能です。税務上の取扱いについては、制度改正の動向を定期的に確認しながら、不明点は専門家に相談することをお勧めします。
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サムネイル:AIによる生成画像



































