
ブロックチェーンで「貿易の書類管理」取引効率化に向けテスト開始:シンガポール
シンガポール政府は、ブロックチェーンベースの貿易プラットフォーム「TradeTrust」の試験運用に取り組んでいます。このプロジェクトは貿易書類を安全な方法でデジタル化し、取引の効率化やコスト削減などを図ることなどが目標とされており、現在は技術導入のための基準設定などが行われています。
こちらから読む:貿易書類を安全に管理できる「ブロックチェーン」の仕組み
ブロックチェーンで「船積書類を安全に共有」
TradeTrustは、ブロックチェーン技術を活用することによってこれまで手作業で行われていた海上運送に関する複雑なプロセスを合理化することを目的としており、そのための手段の一つとして「ブロックチェーン技術を採用した電子船荷証券(*1)」を採用しています。
(*1)船荷証券:船会社などの運送業者が発行する船積書類。貨物の引き受けを証明し、当該貨物を受け取る際の依拠とする
紙をベースとした記録方法で貿易に関する重要情報を管理した場合には、長い時間と追加費用がかかってしまう可能性があるため、これらのプロセスをデジタル化することによって効率化を図ることが主な目的です。
貿易を行う際に取り扱うデータの中には重要な情報も数多く含まれているため、海運業界ではデータを安全に保護しつつ、スムーズにそれらのデータを共有できるブロックチェーン技術が注目を集めています。
貿易書類取引の「標準」を策定
「TradeTrust」の試験運用は、
・情報通信メディア開発庁(IMDA)
・シンガポール海事港湾庁(MPA)
・シンガポール船主協会(SSA)
・シンガポール税関
によって2019年1月に署名された覚書(MoU)に基づいて進められ、IMDAはこの取り組みに関するフィードバックを収集すると共に「将来的にこのシステムを最も効果的な方法で実装するためにはどのようにすれば良いか」について、業界からの助言を求めると報じられています。
最初の取り組みでは、目標を実現するための「インフラ構築」や「電子船荷証券の推進」そしてこれらの技術を適切に扱うための標準を明確化させることなどに焦点が当てられており、シンガポールの情報通信大臣であるS. Iswaran(S・イスワラン)氏は「TradeTrust」について「企業がデジタル化された貿易書類を安全に取引するために必要な一連の標準を策定するためのイニシアチブ」だと説明しています。
ブロックチェーン技術を活用した「電子船荷証券取引プラットフォーム」を導入するのはシンガポールだけではありません。イスラエル最大の貨物運送会社として知られる「Zim」は今年のはじめに同様のプラットフォームを公開しており、通常ならば数日から数週間ほどの時間を必要とする取引を「2時間以内」で完了させることに成功したと報告されています。
書類を管理・共有するためにブロックチェーン技術を活用して成功した事例は、これまでにも数多く報告されているため、このようなブロックチェーンの活用事例は今後も世界中から報告されると考えられます。
ブロックチェーンのその他の活用事例はこちら

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