ブロックチェーン実用化に挑む「ドイツ車メーカー」運転記録や修理履歴のデータ管理へ
ビットコイン(BTC)と共に注目されている分散型台帳技術やブロックチェーンは、ここ数年間で非常に多くの企業に採用され始めており、様々な活用事例が報告されています。高級車としても有名な「ドイツの自動車メーカー」は特にこれらの技術を積極的に取り入れており、技術の成長を促進する可能性があると期待が高まっています。
こちらから読む:ドイツ自動車メーカーが活用に取り組む「ブロックチェーン技術」とは
「注目の最先端技術」とその現状
ブロックチェーン技術を応用すれば様々な業種で「コスト削減や効率化を図ることができる」といわれており、近年ではこの技術を採用する企業も増加してきています。
しかし、誕生から10年が経過した今でも世の中に広く定着するような成功例は見られておらず、「ブロックチェーン技術とは一体どのようなものなのか?」「どのようなことに利用できるのか?」といったことはあまり知られていないため、まだまだ発展の初期段階であることも否めません。
しかしその一方では、高級自動車メーカーが数多く存在するドイツの自動車業界で積極的にブロックチェーン技術の活用が進められています。
「ブロックチェーンの実用化」に挑む独自動車メーカー
仮想通貨報酬の活用法を模索|Daimler AG
Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)の親会社でもある「Daimler AG(ダイムラーAG)」は、2018年に安全運転を行う優良ドライバーに対して独自の仮想通貨「Mobicoin(モビコイン)」で報酬を支払うというテストを行いました。
このプロジェクトでは、参加者の車両にドライバーの運転記録を送信できるシステムが搭載されており、それらのデータを受け取った「Daimler AG」がデータに基づいて「Mobicoin」による報酬を支払う仕組みが採用されていました。最も多くのコインを獲得したドライバーには「メルセデス優勝カップの決勝戦」や「DTMレース」のVIPチケットが送られています。
またこの他にも同社は、金融、IoTなど他業種の大手企業が参加しているブロックチェーン技術促進のためのプロジェクト「Hyperledger project(ハイパーレジャー・プロジェクト)」にも積極的に参加しています。
「車両データ管理」や「融資の合理化」に挑戦|BMW
BMW(ビー・エム・ダブリュー)は、自動車業界の中でも特に積極的にブロックチェーン技術を取り入れている企業の一社です。同社は様々なスタートアップ企業と提携を結んでおり、車両に関連する様々なデータや顧客情報をより安全に管理し、効率化を図るための取り組みを行なっています。
これまでにも、
・カーバーチャル(carVertical/CV)
・ブルーム(Bloom/BLT)
・ヴィチェーン(VeChain Thor/VET)
などの企業とも提携を結んでおり、自動車業界に変革をもたらそうとしています。
BMWはこれら複数の企業との提携を通じて「走行距離などの車両データ管理」「車両の修理履歴の追跡」「消費者に対する融資の合理化」などに取り組んでいます。
ビジネスモデルの「根本的な改革」に着手|Porsche A.G.
Porsche A.G.(ポルシェ)は、昨年9月にブロックチェーンなどの最先端の技術が「同社の専門分野を超えている」とまで語っており、ブロックチェーン・AI・VRなどこれから更なる成長が見込まれるテクノロジーに焦点を当てて、今後5年間で約198億円もの大規模投資を行っていくことを発表しています。
企業と積極的に提携を結んでいるポルシェは、人工知能(AI)とブロックチェーンの開発に取り組むベルリンのスタートアップ企業XEIN(ゼイン)とも提携を結んでおり、ブロックチェーンアプリケーションを共同開発する事によって車両に直接その技術を搭載する事に成功しています。
ポルシェは、これらの取り組みを通じて自社のビジネスモデルを根本的に修正していくことを計画しており、集まったデータを全て暗号化して管理することによって、その他のサービスでも応用し、顧客に対して直接的なメリット提供していくと説明しています。
世界各国の「大手自動車メーカー」が続々と
ブロックチェーン技術は、このように世界を代表する大手自動車メーカーで積極的に採用され始めており、今では自動車に関連する様々な分野での応用事例が報告されています。
自動車業界では、今やブロックチェーン技術の活用は当たり前のものにもなりつつあり、日本、韓国、スペインなどといったドイツ以外の国々の大手メーカーも続々と「ブロックチェーン技術を活用する」と発表しています。
このような大手企業が続々とブロックチェーン業界に参入してくることによって、技術の可能性と成長が飛躍する事が予想されます。自動車業界においては「自動運転車両」や「空飛ぶクルマ」などの実現も近づく可能性があると考えられます。