送金ミスした暗号資産を回収できる「取引キャンセル技術」開発:イスラエル企業Kirobo
イスラエルのスタートアップ企業である「Kirobo(キロボ)」は、2020年6月30日に「暗号資産(仮想通貨)を間違ったアドレスに送信した場合に、送金した暗号資産を回収することができる技術」を開発したことを発表しました。
暗号資産の誤送信「取引キャンセル」が可能に
暗号資産(仮想通貨)を送金する際に使用するウォレットアドレスは「複雑な英数字の文字列」となっているため、アドレス入力時のミスなどによって間違ったアドレスへと暗号資産を送金し、資金を失ってしまう可能性がありました。「Kirobo」のプレスリリースでは『55%の回答者が暗号資産送金時に人為的ミスを経験しており、18%の人々がそのようなミスで資産を失っている』とも報告されています。
今回発表された技術はこのような問題を解決するのに役立つ技術となっており、具体的には既存のブロックチェーンプロトコルに新しいレイヤーを構築することによって、間違ったアドレスに送信してしまったトランザクションをキャンセルすることができるようになると説明されています。
「Kirobo(キロボ)」は、"送金された暗号資産を受け取る際に入力しなければならないコード"を発行するため、受取人が適切なコードを入力するまでの期間であれば、送金者はいつでも送金をキャンセルして資金を回収することができるとのことです。なお、この機能は『Kiroboのサーバーがダウンしてもオフラインで動作する』とも説明されています。
また同社は『Kiroboはユーザーの秘密鍵を保有しておらず、資金や送金先へのアクセス権も有していない』とも強調しており、単純に送金時に使用するコードが取引を完了するかどうかを管理しているだけだということを説明しています。
このプラットフォームはサイバーセキュリティ企業である「Scorpiones Group」による監査を受けており、産業の研究開発の促進を担当する政府の機関であるイスラエルのイノベーション機関からのサポートも受けているとのことです。
取引の恐怖心を排除して「暗号資産の採用」を促進
「Kirobo」のCEOであるAsaf Naim氏は『当社の目標はブロックチェーン取引をオンラインバンキングと同じくらい簡単かつ安全にすることだ』と述べており、「DAOstack」のCTOでありながら「Kirobo」の顧問でもあるAdam Levi(アダム・レビ)博士は『仮想通貨取引から恐怖を取り除くことによって、暗号資産全体の採用を促進することができる』と説明しています。
今回の発表では、同社が開発したこの機能が有名なハードウェアウォレット「Ledger(レジャー)」のビットコイン取引で利用できるようになったことも報告されています。また『今後数ヶ月間ではその他のウォレットなどにもこの機能が統合される予定になっている』とも伝えられており『現在はこの機能を顧客に提供したいウォレットプロバイダーや取引所を積極的に募集している』とも説明されています。
暗号資産の送金では、通貨によっては送金完了までに「数分〜数時間」かかってしまう場合もあるため、暗号資産を送金したことのある多くの人は『ちゃんと送金できているか』という不安を感じたことがあるかと思います。しかし、取引をキャンセルすることができるようになればそのような不安が解消されるため、今回発表された機能は暗号資産ユーザーにも非常に嬉しい機能になると考えられます。