伊藤忠:ファミリーマートを完全子会社化「ブロックチェーン・AIの活用」も計画
日本の大手総合商社である「伊藤忠商事(ITOCHU)」は2020年7月8日に、同社が50.1%の株式を保有するコンビニ大手「ファミリーマート(FamilyMart)」に対して株式公開買い付け(TOB)を実施することを発表しました。ファミリーマート経営への関与を強めることを計画している同社は、ブロックチェーンや人工知能(AI)などの技術を活用した新サービスの導入なども視野に入れていることを説明しています。
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伊藤忠:ファミリーマートに「株式公開買い付け」を実施
伊藤忠商事の発表によると、同社は2020年7月9日〜2020年8月24日にかけて同社が50.1%の株式を保有する「ファミリーマート」に対して株式公開買い付け(TOB)を実施します。伊藤忠は買い付け価格「1株=2,300円」で全ての株式を取得することを目指しており、買い付けの総額はおよそ5,800億円になる見通しだと報告されています。
なお、伊藤忠は食品分野での連携を強化するために、取得した株式のおよそ5%を「全国農業協同組合連合会(JA全農)」や「農林中央金庫」に約 570億円で譲渡する方針であるため、最終的な出資比率は94.7%となる見込みで、ファミリーマートは非上場になるとされています。
ファミリーマートは2009年に「am/pmジャパン」を、2016年には「サークルKサンクス」を傘下に持つ「ユニーグループ・ホールディングス」を統合するなどして店舗数を1万7,500店舗にまで拡大し、コンビニ業界で「セブン−イレブン・ジャパン」に次ぐ2番目の大手企業となっていたものの、現在店舗あたりの売り上げは伸び悩んでおり、新型コロナウイルスで在宅勤務が広がったことなどによって"オフィス街を中心とした出店"が裏目に出て、大手3社の中では4月と5月の売り上げが最も大きく落ち込んだと報告されています。
伊藤忠はこのような状況にある「ファミリーマート」で最先端技術などを導入しながら様々な改革を行うことによって業績を回復させ、1日におよそ1,500万人が訪れる店舗網の購買データの分析などを通じて、消費者が求める新たな商品の開発などにもつなげていくことを計画しています。
ブロックチェーン・AI活用の実証実験などを計画
伊藤忠は今回のTOBを通じてファミマを非上場にすることによって伊藤忠グループの人材や事業などをつぎ込み、独自電子マネーなどの金融事業やデータ分析などを導入し、両社の成長を促進させることを計画しています。
伊藤忠はこれまでにも「ブロックチェーン技術を活用したサプライチェーン管理」などでブロックチェーン関連企業とも提携していたため、それらの技術をファミリーマートにも応用して、新しいサービスなどを展開していくことを予定しています。
具体的には、ファミマの一部店舗を活用して「人工知能(AI)を搭載した人型キャラクターが来店者に様々なサービスを提供するシステム」や「ブロックチェーン技術を活用した新サービス」などの実証実験を行うと伝えられています。
ファミリーマートも以前からブロックチェーンやAIなどの最先端技術活用に向けた取り組みを進めており、2018年には「台湾のファミリーマート重慶店」で
・3Dカメラ搭載の「入店カウンター」
・QRコードやNFCを内蔵した「電子棚札」
・透明ディスプレイを搭載した「冷蔵庫」
・コミュニケーションロボット「ロボピン」
・光に情報を埋め込む「FlowSign Light」
・映像に情報を埋め込む「FlowSign Video」
・顧客情報の「ブロックチェーン管理」
などといった、様々な新システムを試験的に導入していたため、今後はこのような技術が日本のファミリーマートでも積極的に導入されていく可能性があると期待されます。