RICOH:ブロックチェーン用いた「再生可能エネルギー管理」の実証実験開始
事務機器、光学機器などを製造・販売を手掛けている「RICOH(リコー)」は2020年8月21日に、ブロックチェーン技術を用いて再生可能エネルギーを管理する実証実験を開始したことを発表しました。
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「再生可能エネルギーの課題解決」に向け技術活用
RICOH(リコー)は2020年8月21日に、再生可能エネルギーの分野にブロックチェーン技術を応用するための実証実験を開始したことを発表しました。この実証実験では、RICOHグループの金融子会社である「リコーリース」が手掛ける太陽光発電所や自社の事業所にセンサーを取り付けることによって、発電量や使用量を計測して取引できるかをシミュレーションするとされています。
リコーはブロックチェーン技術の特長として「データ改ざんの発見が容易なこと、データの追跡ができること、価値を情報にして流通状況を管理できること、関係者間で平等に信頼できるデータを共有できること、第三者機関による保証が不要なこと」など挙げており、ブロックチェーン技術が金融分野だけでなく「電力分野」での応用に期待されていることを説明しています。
同社は再生可能エネルギーの流通に関する2つの課題として「発電量が不安定で安定調達しにくい電力であること」や「再生可能エネルギーであることを証明するために無駄な費用がかかること」を挙げており、これらの課題解決にブロックチェーン技術の応用が期待できることを強調しています。
ブロックチェーンで「電力関連情報を見える化」
具体的には、ブロックチェーン技術を応用することによって『再生可能エネルギーがどこで生まれて、どこで使用されたのか』を第三者が検証できる形で準リアルタイムに"見える化"するシステムを開発したと報告されています。このシステムは「再生可能エネルギーの融通による安定調達の実現」と「低価格での再生可能エネルギー保証」を目的としたものであり、電力取引プラットフォームとしての普及を目指すと説明されています。
再生可能エネルギーの発電量と消費量が準リアルタイムに記録されることによって電力の過不足を可視化することができるため、発電事業者や小売電気事業者などは各関係者間で電気の融通などの調整を行うことができるようになり、各小売電気事業者はムダなく安定した状態で再生可能エネルギーを供給・調達することが可能になります。
また、これらの電力を使用する消費者は「自分が消費した電力のどれくらいが再生可能エネルギー由来のものなのか」を容易に確認することができるため、企業などは会社が再生可能エネルギーを利用していることを信頼できる形で証明することもできるとも説明されています。
消費量を示すウェブアプリケーションのデモイメージ(画像:RICOH)
実証実験は2021年3月まで実施される予定となっており、その後も得られた結果をもとにして継続的な取り組みを行なっていくと伝えられています。また、将来的にはバイオマスや風力などといったその他の再生可能エネルギー発電事業者にも参画を呼びかけていく予定だと伝えられています。