タイの暗号資産取引所、本人確認で「国民IDカードのスキャン」が必要になる可能性
タイの暗号資産取引所で新規口座開設を行う際の本人確認手続き(KYC)基準が強化され、顧客の身元を直接確認するために「物理的に立ち会うこと」が求められるようになる可能性があることが複数の報道で明らかになりました。報道によると、タイの規制当局は国民IDカードのチップをスキャンするための「ディップチップ」と呼ばれる機器の導入を求めているとされています。
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本人確認で「国民IDカードのスキャン」求める
タイのメディアである「Bangkok Post」の報道によると、タイの金融規制当局である「アンチマネーロンダリング局(AMLO)」は『暗号資産取引所は顧客が実在することを確認するために「dip-chip(ディップチップ)」と呼ばれる機器を用いて新規ユーザーの身元を確認する必要がある』と発表したと報告されています。
現在タイの暗号資産取引所で新規口座開設を行う際には「必要な書類をオンラインで提出する」という日本でも一般的な方法で本人確認手続き(KYC)を行うことができますが、「ディップチップマシン」が導入されると国民IDカードに埋め込まれたチップをスキャンする必要があるため、新規登録者は本人確認のために物理的に立ち会う必要があるとされています。
この新しい規則が導入されると本人確認プロセスがより厳格化されることになると予想されますが、それと同時に「タイのIDカードを持たない外国人投資家がタイ国内の暗号資産取引所にアクセスするのを防げる可能性がある」とも報じられています。
バンコクポストの報道によると、タイの暗号資産取引所「SatangCorp」の共同創設者兼ディレクターであるPoramin Insom氏は、この新しい規則は9月に発効する予定だと述べたとされています。
「急増する新規口座開設」が抑制される可能性
報道によると、昨年末時点で16万程度だったタイの暗号資産取引所アカウント数は2021年4月26日時点で「69万7,780」にまで急増しているとのことで、現在は多くの暗号資産取引所が新規登録者への対応に追われていると報じられています。
しかし、Poramin Insom氏は新しい規則の導入について『新しい本人確認方法が採用された場合には新規口座開設の申請プロセスが複雑になるため、新規登録者の急増は抑制される可能性がある』と語っています。
なお、規制当局はこの仕組みを「100,000バーツ(約35万円)以上のゴールド取引」にも導入しようとしているとも報告されており、『バンコクにある一部の金商人はすでにID検証のためにディップチップマシンを活用している』と報じられています。