日本政府:新たな暗号技術を模索「耐量子コンピューター」を重要視|2023年導入目指す
日本政府は、2023年を目処にして中央省庁におけるデータのやり取りなどで「新しい暗号技術」を採用するための新規格策定などに向けた取り組みに着手していると報じられています。政府は、仮想通貨業界でも"大きな脅威になる可能性がある"と言われている「量子コンピュータ」にも対処できる技術を求めており、金融機関や民間企業も関わっているとされているため、仮想通貨業界からも注目が集まっています。
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「機密情報保護」に向け有効な技術を調査
日本政府が2023年の導入に向けて準備を進めている暗号技術は、中央省庁におけるデータのやり取りなどで使用され、機密情報が海外などに漏れるのを防ぐために使用されると報じられています。現在は、総務省と経済産業省が検討会を立ち上げて「有効な技術の調査」や「暗号技術の安全基準策定」などに取り組んでいる段階であり、金融機関などの民間企業もこれらのデータを参考にしていく見通しだと伝えられています。
重要な機密データの保存や通信を行う際に暗号を使用している日本政府は、2003年に「推奨リスト」としてまとめた"安全性の高い暗号技術"を2013年に最新技術に入れ替えており、2023年には再びリストを更新する予定だと説明されています。
2023年に更新されるリストには「量子コンピューターに対応した暗号技術」を初めて盛り込む方向で検討が行われているとのことで、総務省と経済産業省が立ち上げた検討会は「大学教授・機器メーカー・日銀関係者」などが参加するとされています。
暗号業界を脅かす「量子コンピューター」
量子コンピューターとは、近年急速に実用化に向けた取り組みが進められている"次世代型のコンピューター"であり、その処理能力は現在使用されているスーパーコンピューターの「1万倍〜1億倍」とも言われています。
従来のコンピューターは「0と1(電圧のオン・オフ)」を用いて演算を行なっていますが、量子コンピューターは「重ね合わせ」と呼ばれる量子力学的な基本性質を用いることによって、2つ以上の状態を同時に表すことができるようになっています。
そのため、これまでの考えでは想像もつかないような速さで計算を行うことも可能であり、現在一般的に使用されているパスワードなどは数秒で解くことができるとも言われています。
このような性質を持つ「量子コンピューター」は、暗号化技術をベースとしている仮想通貨・ブロックチェーンにも深刻な影響をもたらす可能性があると言われているため、カルダノエイダコイン(Cardano/ADA)などをはじめとする複数の仮想通貨はすでに「耐量子コンピューター」の性能を備えるように開発が進められています。
量子コンピューターの登場は遠い未来の話ではなく、今年1月にはIBMが世界初となる"商用"量子コンピュータ「IBM Q System One」を発表しています。急速な成長が求められている暗号技術の分野において、日本政府が今後どのような技術を選択していくのかには注目が集まります。