韓国政府機関:ブロックチェーン基盤の「DIDモバイル社員証」導入へ
韓国でインターネットセキュリティを管轄している準政府機関「韓国インターネット振興院(KISA)」は2020年8月31日に、ブロックチェーン技術を活用した分散型の従業員IDシステム「モバイル社員証」の導入を推進していくことを発表しました。この「モバイル社員証」には、ブロックチェーン技術を基盤とした分散型の身分証明技術(Decentralized Identity/DID)が活用されており、韓国の公共機関でこのような社員証が導入されるのは今回が初めてであると伝えられています。
こちらから読む:米空軍、BC技術活用を検討「ブロックチェーン」関連ニュース
ブロックチェーン基盤の「モバイル社員証」導入へ
韓国インターネット振興院(KISA)は2020年8月31日に、公共機関で初めて「ブロックチェーン技術を活用した従業員IDシステム(モバイル社員証)」の導入を推進していくことを発表しました。このモバイル社員証には、非対面環境で身分証明を行い、個人情報を直接管理することができるブロックチェーン基盤の身分証明技術「分散型アイデンティティ(Decentralized Identity/DID)」が活用されています。
このモバイル社員証では「社員証の発行情報」と「アクセス履歴情報」がデータの偽造・改ざんが不可能なブロックチェーン上に記録されており、認証に必要な個人情報は利用者のスマートフォンに暗号化された状態で保管されているため、従来のプラスチックの社員証よりも安全に個人情報を管理することができると説明されています。
韓国インターネット振興院(KISA)は、スマートフォンに搭載されている「近距離無線通信機能」や「QRコードのスキャン機能」などを活用して"非接触での社員認証"ができる環境を構築し、「オフィスの出入り口・食堂・資料室」などにモバイル社員証を活用する予定だと説明しています。
また、業務ポータルを使用する場合には、本人でなければシステムにログインすることができないようにする「二段階認証」も活用されることになっているため、内部システムのセキュリティも強化されると報告されています。
仮想通貨「KISAコイン」などの導入も計画
韓国インターネット振興院(KISA)は「モバイル社員証」を導入するだけでなく、より優れた従業員などに付与するための仮想通貨「KISAコイン(仮称)」などを導入する計画も明らかにしています。「KISAコイン」は事務用品・軽食・飲み物などを購入する際の決済手段として使用することができ、その後は徐々に活用範囲を拡大させていく予定だとされています。
「モバイル社員証」は2020年10月末までに本社で導入される予定となっており、その後は2020年内にソウルや板橋のオフィスにも導入される予定となっています。また、機能改善・改良が行われた後には「地域の公共図書館」や「地域関連の身分証明が必要なサービス」などにも応用していくことが計画されているとのことです。
韓国インターネット振興院(KISA)の院長であるギム・ソクファン氏は「ブロックチェーン技術を活用したモバイル社員証」の導入について次のようにコメントしています。
ここ最近で拡大している非対面社会では、何よりも「データの信頼性確保」が重要となります。分散型身分証明技術(DID)は、そのために最適化された技術です。
公共機関で初となる「DIDモバイル社員証」を導入することによって、従業員の利便性と安全性を向上させ、さらには「地域の関連機関と連携した非対面身元確認サービス」などを発掘するきっかけになればと考えています。
ブロックチェーン技術を活用した「分散型ID認証システム」は様々なサービスへの応用に期待が高まっており、「自動販売機での年齢認証」や「ブロックチェーンを活用した運転免許証」などにも期待が高まっています。