ブロックチェーンで「美容整形問題」解決へ|韓国で増加する悪質治療の被害
ブロックチェーン(Blockchain)企業である「BeautyBloc」は、美容整形業界で長い間指摘されてきた「虚偽広告」や「非専門医による悪質な治療」などの様々な問題を解決し、失いつつある"信頼"を回復することに挑戦しています。韓国を拠点に世界全体に向けた積極的なアプローチを行なっている注目の仮想通貨(Cryptocurrency)プロジェクトを紹介します。
こちらから読む:美容業界に信頼をもたらす「ブロックチェーン」の仕組み
美容整形先進国で拡大する「美容整形被害」
韓国は「美容整形」が特に盛んな国でもあり、世界的にも有名な「美容整形先進国」として知られています。
整形手術を望む人々の多くは韓国での治療を望んでいるため、国外からも非常に多くの人々がこの国を訪れており、美容整形に関連する産業は同国の国家経済発展の重要な柱となっています。
1年に10万人が殺到する「訪韓整形手術」
国際美容整形外科学会(ISAPS)が2011年に行った調査では、人口1,000人当たりの美容整形率は「韓国で約5.2人、日本では約2.9人」と報告されており、日本の約2倍にあたる人々が美容整形を行なっていることが示されています。
韓国で整形したいと考える人は国内の人々だけではありません。
複数の調査機関の報告によると、美容整形を目的に韓国を訪れる外国人が急速に増えていることも報告されています。日本の厚生労働省にあたる「韓国保健福祉部」が「外国人患者誘致事業」を開始した2009年の時点では「2,851人」とされていた外国人患者の数は、2016年には「95,221人」にまで膨れ上がっています。
美容外科、美容皮膚科のクリニック、医院などは、韓国全体で約4,000件あるといわれており、その40%はソウルで営業しています。さらにソウル市の高級住宅街がある江南(カンナム)地区には「美容整形通り」と呼ばれるストリートがあり、そこには約800社のクリニックが密集しています。
増加する医療事故や被害届け
美容整形患者数が急増する一方では、「満足のいく結果が得られなかった」という悲鳴の声も多く、整形被害や失敗、医療事故などの報告も同様に増え続けており、韓国消費者院が発表したデータでは整形手術に関する消費者からの相談の件数は、2011年の合計が約4,050件だったのに対し、2017年は1〜9月までの期間だけで約3,800件にのぼっており、急速に増加していることが報告されています。
2013年7月には、韓国有名整形外科「グランド整形外科」で手術を受けた女性患者が手術中に死亡する事故が発生し、
2015年11月には、ソウル市江南区で顔の輪郭と鼻の整形手術を受けた日本人女性が手術から4日後に遺体で発見され、その後の調査の結果で「薬物中毒」か「塞栓症」が原因で亡くなったと報告されています。
2016年3月には、脂肪移植手術と鼻の整形手術を受けたタイ人女性が手術中に呼吸停止に陥り、そのまま死亡する事故なども起きています。
無免許の整形外科医
こうした美容整形による失敗や死亡事故などのトラブルは、正式な整形外科医の資格を有していない「非専門医」による手術が横行していることなどが関係しています。
非専門医は専門医の数倍は存在すると推定されており、韓国に整形外科が約4,000件あるのに対して、正式な「整形外科専門医」は約1,700人ほどしかいないとも報告されています。しかし、その事実は韓国であまり認知されていません。
国民生活センターの調査によると消費者からの整形相談件数は、平成25年度以降3年連続で2,000件を上回っており、『痛みが激しい』などの『後遺症がある』といった訴えのほか、料金トラブルなども多発しています。
信頼できる美容業界を|仮想通貨プロジェクト「BeautyBloc」
BeautyBlockは、美容整形業界の「誇大広告」を防止し、信頼性を回復することによって、医療美容市場を再構築することを目標に掲げています。
医療・美容業界に「健全なデータベース」を構築
具体的なプロジェクトの内容としては、
・事前に説明すべき内容を正しく伝えたか?
・治療の内容は適切であったか?
・その他の違法な営業を行なっていないか?
といった適切な治療を行うために重要となる様々な情報をブロックチェーン上に記録して
・病院
・医師
・患者
・保険会社
などで共有して管理することによって、偽造される心配のない"健全なデータベース"を構築することを目指しており、これらの情報を共有した人々や組織には、見返りとして「独自トークン」が報酬として支払われる仕組みを採用することによって、健全な環境が保たれるようになっています。
このような方法で業界全体をカバーできる新しい仕組みを構築することによって、仲介コストを削減し「医療・美容業界」全体の効率を向上させることが期待されています。
医療・美容業界における「世界初のブロックチェーンプロジェクト」として正式に開始されたこの取り組みでは、ブロックチェーン技術を活用した「分散型取引プラットフォーム」を兼ね備えたクレジットシステムである「BVS(Beauty Value Score)」と呼ばれる信頼性評価システムが構築されています。
BeautyBlockの取り組み
美容整形の業界における「誇大広告」や「虚偽広告」の具体的な事例や、問題点として挙げられるものの例えとしては、次のようなものが挙げられます。
・手術前後の比較写真が同条件で撮影されていない
・治療期間や副作用などの重要な情報が記載されていない
・限定100人や学生割引などの文句で医療機関を紹介している
・満足度100%などといった、治療を保証する広告をしている
このような営業方法や広告は全て医療法で禁止されていますが、実際にはこれらの問題の多くは解決されておらず、美容整形業界における重要な問題として以前から指摘する声も相次いでいました。
「BeautyBlock」のプロジェクトでは、ブロックチェーン技術の利点を活用して、
・偽商品に関連する問題の解決
・製品サービスの追跡および登録
・消耗品の乱用防止
・自動化された分散型管理
などに取り組むための「国際的な情報管理システム」が構築されます。これによって、これまでに業界に蔓延していた様々な問題を改善することができると期待されています。
「BeautyBloc」は、医療・美容産業が直面しているこのような複数のジレンマを解決することに挑んでいます。
拡大するブロックチェーン・ネットワーク
BeautyBlockの中核となるオペレーションチームは、長年にわたって医療美学業界に深く携わっており、医療美学の豊富な経験とブロックチェーンや人工知能(AI)に関する優れた才能を持ち合わせているため、多くの企業や投資家からも期待されています。
戦略的パートナーには世界中の数多くの国が協賛しており、世界トップのブロックチェーンファンドがプロジェクトの初期投資に20社近く参加しています。
現在は韓国で最も有名な整形外科医、元陳整形病院、ID形成外科病院などの病院との戦略的契約も結ばれています。2018年上半期には医療機関の調印協力が100社を超えており、今後も協力する病院の数がさらに増え続けることも予想されています。
これらすべての提携病院に関連する医療データとユーザーデータは「BeautyBloc」に保管され、情報を共有した人々は、独自トークンである「BEAUTY」での報酬を受けることができます。
このプロジェクトは韓国だけでなく、日本や中国にも支社を置いて事業を拡大しているため、今後さらに協力する会社が増えて共有される情報が増えることによって、医療市場における影響力をより高めることができるとも期待されています。
ブロックチェーン技術で活気付く美容業界
韓国の整形外科業界では、仮想通貨を支払手段として受け入れる企業も増え始めているため、「BeautyBlock」のプロジェクトが本格化することで仮想通貨決済の需要もさらに高まることが予想されます。
また日本の美容エステ市場では、「不二ビューティ(たかの友梨ビューティクリニック)」や「ミュゼプラチナム」などの国内の大手有名サロンを持つ「RVH社」も新規事業としてブロックチェーン技術の導入に取り組んでいます。
美を追求することは「外見的な美しさ」や「内面的な美しさ」を問わずとても魅力的なことです
今後の美容産業で仮想通貨決済やブロックチェーン技術が普及することによって、より健全な環境で"美"を追求することができるようになることで、美容業界はさらに活気付くことになるでしょう。
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