Louis Vuitton・Diorのオーナー企業「LVMH」ブロックチェーン導入へ|60以上の高級ブランドに実装
ブロックチェーンで「原材料から中古品市場まで」追跡
世界最大の高級品ブランドグループである「LVMH(エルヴェエムアッシュ)」は、Microsoft Azure(マイクロソフト・アジュール)とブロックチェーンソフトウェア会社ConsenSys(コンセンシス)と提携して、JP Morgan(JPモルガン)が提供するブロックチェーン技術「Quorum(クォーラム)」上に構築された新しいブロックチェーン「AURA」を開発しました。
このブロックチェーンは「高級品が信頼できるものであるかどうか」を検証することができるように設計されており、原材料から販売店に届くまで、さらには中古品市場に出回るまでの一連の流れを追跡することができると説明されています。
仮想通貨メディア「Coindesk」の報道によると、このブロックチェーンは2019年の5月か6月に稼働する予定だとされており、初めは「Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)」と「Christian Dior(クリスチャン・ディオール)」の商品を追跡し、その後は「LVMH」が有する60以上の高級品ブランド、最終的には競合他社のブランドにまで適用されると伝えられています。
「LVMH」が有する高級品ブランド
「LVMH」が有する60種類以上の高級品ブランドには「時計/宝石類/香水/化粧品/ファッション/革製品/ワイン/スピリッツ」といった世界で最も有名なブランドが含まれています。
Wikipediaの情報によると、同社の傘下に含まれるブランドには以下のような会社が含まれるとされています。
ファッション
- Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)
- LOEWE(ロエベ)
- CELINE(セリーヌ)
- KENZO(ケンゾー)
- EMILIO PUCCI(エミリオ・プッチ)
- Berluti(ベルルッティ)
- Dior/Christian Dior(ディオール/クリスチャン・ディオール)
- FENDI(フェンディ)
- GIVENCHY(ジバンシー)
- Donna Karan(ダナ・キャラン)
- MARC JACOBS(マーク・ジェイコブス)
- Thomas Pink(トーマス・ピンク)
- StefanoBi(ステファノ・ビー)
- Nowness
化粧品・香水
- Dior/Parfums Christian Dior(ディオール/パルファン・クリスチャン・ディオール)
- GUERLAIN(ゲラン)
- BeneFit(ベネフィット)
- LAFLACHERE(ラフラシェール)
- ACQUA DI PARMA(アックア・ディ・パルマ)
- MAKE UP FOR EVER(メイクアップフォーエバー)
- Parfums GIVENCHY(パルファム・ジバンシィ)
- KENZO Parfums(ケンゾー・パルファム)
- fresh(フレッシュ)
- Perfumes Loewe(ロエベ/パフュームス・ローウェ)
時計・ジュエリー
- TAG HEUER(タグ・ホイヤー)
- FRED(フレッド)
- DIOR Watches(ディオール・ウォッチ)
- Chaumet(ショーメ)
- HUBLOT(ウブロ)
- ZENITH(ゼニス)
- BVLGARI(ブルガリ)
- De Beers(デビアス)
- FRED(フレッド)
ワイン・スピリッツ
- Dom Pérignon(ドン・ペリニヨン)
- Moet & Chandon(モエ・エ・シャンドン)
- Krug(クリュッグ)
- Ruinart(ルイナール)
- Veuve Clicquot Ponsardin(ヴーヴ・クリコ)
- Hennessy(ヘネシー)
- BELVEDERE VODKA(ベルヴェデール)
- Glenmorangie(グレンモレンジー)
- Ardbeg(アードベック)
- 10 Cane
- Wenjun
- CHANDON(シャンドン)
- CLOUDY BAY(クラウディー ベイ)
- Cape Mentelle(ケープ メンテル)
- Newton(ニュートン)
- Terrazas de los Andes(テラザス デ ロス アンデス)
- Château Sancerre(シャトー サンセール)
- Lapostolle(ラポストール)
- Numanthia(ヌマンシア)
- Château d'Yquem(シャトー ディケム)
- Château Cheval Blanc(シャトー シュヴァル ブラン)
- Cheval des Andes(シュヴァル デス アンデス)
- Taylor's(テイラー)
- MERCIER(メルシエ)
セレクティブ・リテーリング
- DFS(DFS)
- Sephora(セフォラ)
- La Samaritaine(サマリテーヌ)
- Le Bon Marché(ボン・マルシェ)
- Miami Cruiseline Services(マイアミ・クルイセリン・サービシズ)
その他
- Pinarello(ピナレロ)
- GROUPE LES ECHOS(グループ・レゼコー)
- ROYAL VAN LENT(ロイヤル・ヴァン・レント)
- JARDIN D'ACCLIMATATION(ジャルダン・ダクリマタシオン)
ブロックチェーン技術は「ホワイトラベル形式」で提供
「LVMH」がこれから展開していくこのプロジェクトは「業界コンソーシアム」の形式で提供されていくべきだと考えられており、同社はこれらのブロックチェーンソリューションを「既成のプラットフォーム」として競合他社やその他のブランドに提供する「ホワイトラベル(*1)」と呼ばれる形式で提供していく予定だと報じられています。
(*1)ホワイトラベル:特定の企業が提供する「既製のプラットフォーム」をシステム提供者から借りて、独自のブランド名でサービスを展開しているように見せる経営戦略のこと
そのため「AURA」は何らかのアプリが作成されるわけではなく、それを使用しているブランドの背後で実行されることになるため、利用者は「AURA」と呼ばれるアプリなどを目にすることはありません。Coindeskにこれらの情報を提供した人物は次のように説明しています。
顧客は「AURA」ではなく「ルイ・ヴィトンのアプリ」か「他の高級ブランドのアプリ」で高級ブランド品の情報を確認することになるでしょう。
高級品市場には、以前から「偽造品」の問題が数多く発生しており、世界中のオンライン上で扱われる偽造品関連の損失額は2017年の時点で3,230億ドル(35.7兆円)にものぼっていると報告されています。
「LVMH」が展開するこれらのブロックチェーンソリューションが世界中で一般的に使用されるようになれば、偽造品の問題は飛躍的に改善され、世界中の人々がその恩恵を受けることができると期待できます。